中根式用〔第3案〕
 
 今までは「速記指導者養成計画案」の「大綱」について書いてきました。それでは、中根式を例に挙げて、具体的な「運用方法」について書いてみましょう。
 
1.指導者養成の対象者について
 指導者養成の対象者は年齢、性別に関係がないことは周知のとおりです。最低限、下記の条件を満たしていなければならないと思います。
1)速記学校、教室、支部、研究所、塾等の卒業生
 速記学校、速記教室、支部、研究所、速記塾の研究科(本科1年、研究科1年)及び実務速記科(2年制)を卒業し、速記法、速記術のみを習得した卒業生です。
 中根式関係の教育機関には下記のものがあり、青字は現在でも指導が行われております。
 中根速記学校(東京都千代田区)
 川村速記学校(青森県弘前市・川村秀蔵)
 岩手速記学院(岩手県盛岡市・加茂秀雄)
 澤速記教室(東京都世田谷区・澤 二郎)
 中根速記浜松支部(静岡県浜松市・佐山良平)
 中根速記三重支部(三重県度会郡小俣町・高木 宏)
 中根速記大阪支部(大阪市・西 峰生)
 京都速記研究所(京都市・森 卓明)
 福知山速記研究所(京都府福知山市・足立卓聰)
 中根速記兵庫支部(神戸市・稲垣正興)
 神戸速記学校(神戸市・木下謹三郎)
 中根速記和歌山支部(和歌山市・山崎英生)
 広島YMCA支部(広島市・酒井哲夫)
 小出速記事務所(佐賀市・小出邦彦)
 熊本市青年学級速記科(熊本市・鬼木淑子)
 上記の各支部では「速記法」における全体系(指導された中根式の各法則体系を基準とする)が指導されていたかどうかは不明です。
 いずれの教育機関においても「速記史」に関しては指導されておりません。
2)通信教育修了生
 中根式速記本部及び中根速記学校で行っている通信教育・研究科課程の修了生です。
「速記法」のみで、「速記術」に関しては各個人によって異なっております。「速記史」に関しては指導されておりません。
※一時期、東京には「中根式速記協会」と「中根速記学校」があり、京都には「中根式速記本部」があり、現在は中根式速記協会として一本化されております。
3)高校の速記部及び大学の速記研究会出身者
 高校の速記部及び大学の速記研究会出身者は速記法の全法則体系(指導された中根式の各法則体系を基準とします)が指導されていないと思います。全国各地の高校速記部では95%以上が中根式を採用しております。
 最近では高校の速記部が減少をしておりますが、北海道では、過去に小樽商業、小樽潮陵、函館商業、釧路商業、旭川北都商業などに速記部がありましたが、、現在では自然消滅をしております。
※中根式関係では速記史(「日本速記八十年史」及び「日本速記百年史」)を指導しているところはほとんどないと言っても過言ではありません。
4)独習者
 中根式関係では独習者が極めて少ないと思います。
 中根式関係の教科書類で市販されたのは、高校速記科の教科書として昭和43年3月28日に市ケ谷出版発行された中根洋子/池田正一/森下等著「中根式速記」だけです。古書店でも中根式の教科書は入手が困難です。
5)社団法人日本速記協会速記技能検定試験1〜3級合格者
 社団法人日本速記協会が行っている速記技能検定試験の1〜3級合格者です。※1)〜5)までは共通ですが、中には例外があることを忘れてはなりません。
 速記が速く書けることと、速記を指導することとは別の問題です。速記がある程度速く書けるのは当然のことですが、速記が速く書けなくても速記の指導が上手な指導者もおります。
 速記法の大家が必ずしも速記術の大家ではありません。逆にまた速記術の名人即速記法の権威とも言えません。速記法と速記術、この2つは似たところもありますが、本質的には全く別のものです。
 幾ら実務経験が長くても、速記の指導ができない人もおります。
 要は速記に対する意識の高さが最も重要なことです。
 
2.科目について
 中根式指導者のほとんどが、速記法と速記術を習得後、学習者に速記法と速記術を指導しているだけです。
 速記を学問的な見地から考察すると、技術的な知識しか持ち合わせていないように思います。速記史に関しての知識がほとんどないと言っても過言ではありません。
 指導者は速記法、速記術以外に速記に関したいろいろな知識を身につけていなければなりませんし、速記法、速記術以外の科目も学習者に対して指導をしなければならないと思います。
 指導者として必要な「科目」を分類すると、下記の9科目になると思います。
1)速記法
 自己が習得した中根式速記法の法則体系。
2)速記術
 速記法を応用した技術的な面。
3)速記概論
 速記全般に関すること。
4)速記学
 速記文字を学問的に研究する学問。
5)速記方式学
 各速記方式の基礎的なもの及び速記方式史も含む。
6)速記史
 速記の歴史(日本史、西洋史)及び速記方式史など。
7)速記指導法
 速記法、速記術の指導の方法及び指導実習も含む。
8)速記法研究
 中根式の各法則体系(速記法理論)。
9)速記実務
 速記実務に関する知識。
 以上の科目類で、速記概論、速記史などは速記学習中に習得をしておかなければならない科目です。
 また、「速記学」「速記指導法」「速記法研究」などは指導者だけが知っていなければならない科目でありますし、学習者に対して指導をしなくてもよい科目です。
 
3.指導者養成の科目について
 指導者養成対象者と必要な科目との関連は下記のとおりです。
1)速記学校、教室、支部、研究所、塾等の卒業生
 速記概論、速記学、速記方式学、速記史、速記指導法、速記法研究、速記実務。
2)通信教育修了生
 速記概論、速記学、速記方式学、速記史、速記指導法、速記法研究、速記実務。
3)高校の速記部及び大学の速記研究会出身者
 速記法、速記概論、速記学、速記方式学、速記史、速記指導法、速記法研究、速記実務。
4)独習者
 速記法、速記概論、速記学、速記方式学、速記史、速記指導法、速記法研究、速記実務。
※学習中に習得をした科目は履修したものとみなします。
※数年の実務経験がある場合は「速記実務」を除きます。
 
4.指導者養成の教範類について
 中根式の指導者は下記の「教範類」ぐらいは手元にそろえておくべきです。全科目を暗記しなくても、一度でも読んでおくだけで、速記の指導をしているときには、いつかは必ず役に立つはずです。
 特に、速記法、速記史、速記法研究、速記指導法の科目は暗記をしておかなければりません。指導者として、この4科目は特に必要です。他の科目については常識として概略を知っている程度でよいでしょう。
 特に、速記研究者は全科目を知っていなければなりません。
 中根式指導者は、スピードメモ法の指導をしなくても、必ず教養科目として「スピードメモ法」を勉強をしておかなければなりませんし、中根式指導者としての常識です。
 吉川欽二さんの著作は早稲田式、佐竹式をベースに作成をしておりますが、中根式の法則体系に応用することも可能です。速記指導法には必ず参考になります。
 指導者は自己が習得した法則体系の習得にとどまらず、書けなくてもよいから2〜3の方式を勉強することを勧めます。
 少なくとも早稲田式を勉強しておけば、運筆を研究するときには必ず参考になると思います。できれば通信教育も「全科コース」程度は修了をしておくことを勧めます。
 1つの方式を習得していれば、他の方式を勉強しても学習要領がわかりますので、余り苦にならないはずです。
 自己が習得した法則体系しか知らなければ、自己が習得した法則体系の短所や長所がわかりませんし、他方式の用語や省略法を中根式に取り入れて研究をすることも必要です。
自己が習得した法則体系にのみ固執をしていると、時代にあった速記法則の研究もできませんし、時代に取り残された旧式の速記文字を指導することになります。
速記概論関係
速記術入門
  実業之日本社:酒井寅喜著(昭和37年10月30日発行)
あなたもできる速記術 情報社会を勝ち抜くテクニック
  実業之日本社:宮田雅夫著(昭和46年4月1日発行)
速記概論
  大阪早稲田速記専門学校:兼子次生著(昭和56年3月20日発行)
速記ガイド(速記雑学事典)
  速記教育研究所:速記ガイド編集委員会(昭和57年10月28日発行)
速記と情報社会
  中央公論新社:兼子次生著(平成11年5月25日発行)
速記学関係
速記・研究と回顧
  近畿速記士連盟:京都速記士会編(昭和27年9月20日発行)
中根式速記方式論
  同人方:星野義男著(昭和33年8月 日以降?)
体験的研究ノート 速記における言語と心理
  有限会社ワードアート:佐竹康平著(昭和57年6月21日発行)
速記の科学
  速記文化研究所:兼子次生著(昭和57年9月16日発行)
速記研究
  速記文化研究所:兼子次生著(平成2年7月7日発行)
タンフォノピア
  速記文化研究所:兼子次生著(平成3年5月5日発行)
速記用語辞典
  紀州速記研究所:吉川欽二編(平成8年12月20日発行)
速記用語辞典
  速記懇談会(平成9年2月16日発行)
速記方式学関係
比較速記法(速記研究抜粋)
  京都速記研究所:森 卓明著 昭和3年12月号(第48号)〜昭和7年6月号(第90号)
速記符号集
  社団法人日本速記協会:世話人代表・兼子宗也(平成5年9月1日発行)
現代国語速記法における速記符号文例集
  速記懇談会:編集責任者・兼子宗也(平成6年6月2日発行)
速記史関係
日本速記方式発達史
  日本書房:武部良明著(昭和17年11月25日発行)
国語速記史大要 上 下
  日本速記協会:武部良明著 上(昭和26年8月5日発行)/下(昭和27年2月5日発行)
舞台裏の現代史
  三一書房:竹島 茂著(昭和41年8月23日発行)
インテルステノ報告 速記者の国際活動の歴史と現況
  社団法人日本速記協会:向井征二著(昭和47年2月25日発行)
速記の歴史(西洋編)
  社団法人日本速記協会:向井征二著(昭和48年3月1日発行)
日本速記事始 田鎖綱紀の生涯
  岩波書店:福岡 隆著(昭和53年8月21日発行)
萬国速記史
  大阪早稲田速記専門学校:兼子次生著(昭和55年5月18日発行)
日本速記百年史
  社団法人日本速記協会:武部良明著(昭和58年10月28日発行)
ことばの写真をとれ 日本最初の速記者・若林?蔵伝
  さきたま出版会:藤倉 明著(昭和58年10月28日発行)
紀州速記史要
  紀州速記研究所:吉川欽二著(平成6年8月発行)
速記指導関係
速記要訣
  学校法人川口学園:吉川欽二著(昭和61年8月10日発行)
速記教育概論
  紀州速記研究所:吉川欽二著(平成6年8月発行)
速記講話 ―速記を教える―
  紀州速記研究所:吉川欽二著(平成6年8月発行)
速記講話 ―速記を考える―
  紀州速記研究所:吉川欽二著(平成6年8月発行)
速記の『儀式』
  紀州速記研究所:吉川欽二著(平成8年11月15日発行)
標準時間配分と基本練習
  紀州速記研究所:吉川欽二著(平成8年11月15日発行)
中根式関係
中根式日本語速記法(中根式速記法講解)
  京都速記学校:中根正親著(大正5年2月発行)※復刻本があります
通俗 中根式速記法中根式のバイブルです)
  新日本速記学会:中根正世著(昭和2年11月15日発行)
超中根式速記法
  京都速記研究所:森 卓明著(昭和6年12月5日発行
中根式速記
  中根速記学校出版部:中根正世著(昭和27年4月 日発行)
中根式速記法原理 上 下
  中根速記協会香川県支部:植田 裕著 上 昭和27年4月3日/下 昭和27年5月3日発行
中根式速記の基本教程
  中根速記学校出版部:中根洋子著(昭和31年12月25日発行)
中根式表象法速記通信教室
  京都速記研究所:森 卓明著(昭和32年7月発行)
中根式速記通信教育(普通科・高等科・研究科)
  中根式速記協会:中根正雄著(昭和44年3月5日発行)
学生の速記
  稲垣正興著(昭和44年4月1日発行)
標準中根式速記法原理
  加古修一著(昭和53年12月発行)
中根式日本語速記法第二編
  速記文化研究所:兼子次生著(昭和56年4月29日発行)
中根式の研究
  吉川欽二著(昭和63年8月1日発行)
高校速記クラブ指導の手引き
  全国高校速記教育連盟:稲垣正興著(平成4年4月1日発行)
即席速記法
  中根式即席早書法出版社:中根正雄著(昭和42年5月20日発行)
簡易速記法
  時事通信社:中根正雄著(昭和47年9月10日発行)
スピードメモ法
  スピードメモ法普及協会:中根正雄著(昭和53年4月15日発行)
速記実務関係
速記原稿のつくり方
  東京速記士会:宮田雅夫・佐竹康平著(昭和53年3月20日発行)
要点速記の問題点と処理法
  東京速記士会:武部良明著(昭和54年9月30日発行)
話し言葉にあらわれた用語について
  東京速記士会:野元菊雄著(昭和56年1月30日発行)
記録作成実務の要点
  速記文化研究所:兼子次生著(昭和59年12月発行)
速記実務のABC
  大阪早稲田速記秘書専門学校:吉川欽二著(昭和62年3月20日発行)
話の文章化のプロが振り返るテープ起こし時代の文章化技法
  速記懇談会(平成4年11月7日発行)
その他
名士の速記観
  社団法人日本速記協会:前田英昭編(昭和45年9月1日発行)
中根正親先生回想録
  中根正親先生回想録刊行会:中根正親先生回想録編集委員会(昭和61年3月30日発行)
寸志録 線に聞く
  同人方:吉川欽二著(昭和61年9月1日発行)
高速度速記奥義秘伝
  同人方:吉川欽二著(平成2年6月17日発行)
中根正雄先生を偲んで
  中根式速記協会:中根康雄編(平成7年8月22日発行)
速記一筋 ―中根正雄自叙伝―
  「速記一筋」刊行会:中根敏雄/安倍一男編(平成15年3月30日)
 
5.中根式の法則体系について
 大正3年5月10日に中根式が発表されてから、今日に至るまで各地の研究者により、各法則体系が発表されております。
 私は指導者自身が中根式内に「各法則体系」の存在を認識しておく必要があると思います。
 例えば、別の教授所で中根式を勉強してきた学習者を指導する場合に、「どこの教授所でだれに指導を受けたか」と聞くだけで、その学習者がどういう法則体系を使っているか大体の見当がつき、学習者の習得度に応じて、習得した法則体系のままで通すか、あるいは新たに法則体系を指導するかということになります。そこで法則体系を指導するときの仕方も変わってきます。
 もし、その指導者が「各法則体系」の存在を知らなかったと仮定をしてみましょう。
 別の教授所で習った学習者がその指導者のところへ指導を受けに来ました。指導者はその学習者の速記文字を見て、学習者が間違って覚えてきたと思い込んで、自分の法則体系を指導することになります。学習者の習得度によっては、学習者は速記文字を切りかえることになります。そして覚える負担が大きくなり頭の中が混乱をして速度が伸びなくなります。下手をすれば、その学習者は速記をやめることにもなりかねないことになります。
 中根式の指導者は各法則体系の文献に目を通して、各法則体系の省略法などにも精通をしておかなければならない。と強調をするのは、指導者は別の教授所で指導を受けた学習者が、自分の教授所に来た場合には学習者が使用している速記体系を把握しておかなければ、その学習者に向いた指導ができないからです。
 
法則体系における分類
 中根式の法則体系を大まかに分類すると下記の体系が考えられます。
 中根正親の体系
 中根正世の体系
 中根速記学校の体系T(池田正一らの体系)
 中根速記学校の体系U(中根康雄の体系)
 中根式カナの体系(スピードメモ法)
 植田 裕の体系
 稲垣正興の体系
 森 卓明の体系
 森下 等の体系
 武部良明の体系
 吉川欽二の体系
 長岡商業高校の体系
 金沢二水高校の体系
 学習院大学の体系
 関西大学の体系
などが中根正世の体系や中根速記学校の体系とは異なった法則体系をなしております。 このほかにも体系が存在しますが、ほとんどが中根正世の体系や中根速記学校の系統と思われます。私の手元に資料がないので実態はわかりませんが、文例を見る限りでは大差がないようです。
 これらの体系を総称して中根式と言います。
 
各法則体系についての説明
 中根式の体系を大きく分けると「中根正親」の系統を引く「中根正世の体系」と「森卓明の体系」があります。現在、中根式で使用されている法則体系は、「中根正世の体系」の系統を引き継いだ各法則体系です。
 
中根正親の体系
 中根正親が、大正3年5月10日に発表したものです。中根式各体系の母体となったものであり、現在は指導されておりません。
 「中根式速記法講解」は中根式の原形を知るために、中根式関係者は必読すべきです。
 なお、一般的に原始中根式というときには、中根正親の体系を指しております。
 
中根正世の体系
 創案者の令弟・正世(昭和31年に正雄と改名)が中根正親の体系を大正末期より整理・改良をし旧制の全国中等学校を中心に普及したものです。
 この体系が中根速記学校の体系Tの源流になる一方、当時、旧制中等学校の生徒であった稲垣正興、植田裕、森下等の各体系における原点となりました。
 中根正世が昭和2年11月に刊行をした「通俗中根式速記法」及び昭和27年4月に刊行をした「中根式速記」中根式のバイブルです。中根式関係者は必読すべきです。
 なお、一般的にオーソドックスな中根式というときには、中根正世の体系を指しております。
 
中根速記学校の体系T(池田正一らの体系)
 中根速記学校で指導されてきた法則体系は、大きく下記の3つに分けられます。
1.昭和4年7月から昭和7年9月に指導された法則体系は中根正世の体系(通俗中根式速記法)です。
2.昭和7年10月に池田正一が中心になって「研究会」が組織されて、中根速記学校内で独自の体系が研究されました。
1)森卓明が昭和6年12月に発表した「超中根式速記法」の体系はほとんど取り入れられませんでした。
2)その後、新法則が機関誌に発表をされたが、機関誌に発表をされていない法則が中根速記学校内で指導されました。
3)新法則は機関誌に発表をする以前に、実験的に指導されていたことが推測できます。
4)戦後は、池田正一が中心になり、中根速記学校独自の体系が指導されましたが、池田正一の体系と江森武の体系は別の体系です。
5)江森武の完全な体系を習ったのは、昭和52年4月入学生が最後です。
※戦前の体系と戦後の体系とは異なりを見い出せます。
 戦 前:
1)池田正一の体系と北村薀雄、曲尾啓之助の体系は別の系統です。
2)川村秀蔵が指導をしたのは中根正世の体系(通俗中根式速記法)です。
 戦 後:
1)池田正一の体系が指導されました。
2)江森武が指導をした体系は、川村秀蔵、北村薀雄、曲尾啓之助の体系を折衷した系統です。
3)西宮純一郎が指導をしたのは池田正一の体系です。
 
中根速記学校の体系U(中根康雄の体系)
 昭和54年4月入学生から、中根速記学校では中根康雄の体系が指導されております。
 中根康雄の体系は中根正世の体系に、池田正一ら、稲垣正興、植田裕、森下等の体系を部分的に折衷しております。
 中根速記学校の法則体系において池田正一らの体系(中根速記学校の体系T)と中根康雄の体系(中根速記学校の体系U)とは全く別の体系です。
 中根速記学校の体系は、昭和54年4月を境にして法則体系に大きな変遷が見られるのでTとUに分類をしました。
 
中根式カナの体系
 平成7年8月22日に中根式速記協会から発行をされた「中根正雄先生を偲んで」によると、
 昭和33年8月に「ひらがなとカタカナによる即席速記法を創案」(自衛隊、警察、ロータリークラブにおいて本格的速記と併せて講演)
と書かれておりますが、正確な創案日は不明です。
 即席速記法は、ひらがなとカタカナを別の読み方に分けて、中根式の理論体系を加味した省略法が構築されています。
 中根式では「符号速記」と「スピードメモ法」があり、中根式指導者によっては両方を指導している場合もあります。
 なお、スピードメモ法で書ける最高速度は分速200字〜分速240字と言われております。
 また、昭和47年9月に「簡易速記法」、昭和53年4月に「スピードメモ法」と名称を変更しております。
 中根康雄のスピードメモ法は、中根正雄のスピードメモ法に改良を加えております。
 ここでは名称を一括して「中根式カナの体系」として扱っております。
 
植田 裕の体系
 四国の香川県立高松商業高校速記部を中心に、丸亀商業、志度商業速記部で使用をされ香川県内で広く普及しております。香川県では中根式関係者のほとんどが植田裕の体系で占められております。
 従来の中根式(※中根正世の体系、中根速記学校の体系、稲垣正興の体系)とはかなり異質な法則体系であり研究に値する体系です。
 植田裕は昭和22年から一先輩として母校(香川県立高松商業高校)の速記部を指導し、昭和26年4月から同校の教員として昭和45年3月末まで速記部の指導されていました。24年間にわたる速記指導の中で植田裕が目指したものは、流麗な速記符号、各法則間の矛盾の排除です。
 植田裕の研究は高校教員になる前の4年間は新聞社で実務速記者としての経験と、高校教員としての指導の傍ら、地元の実務速記を手がけるなどして単に机上の空論ではなく実務から割り出した研究であることと、その速記教育法・速記教育課程(カリキュラム)の開発です。
 昭和45年4月から東京で速記実務の傍ら研究を続けております。
 
稲垣正興の体系
 関西地区の学生速記界を中心に普及をしております。関西地区の中根式関係者のほとんどがこの体系で占められております。
 また、中部地区の愛知大学速記研究会(現在は廃部)、関東地区の学習院大学速記研究会(現在は早稲田式)にも部分的に採用されておりました。
 現在でも、関西地区を中心に指導が行われております。
 
森 卓明の体系
 中根正親の高弟・森卓明が「超中根式速記法」を昭和6年に発表以来、中根式の各研究者に大きな影響を与えております。
 「超中根式速記法」は中根式の体系に、理論的に一番近いので中根式関係者には一読に値する書物です。
 超中根式→中根式表象法→現代国語表象速記法と研究され、現在では、従来の中根式とはかなりかけ離れた法則体系をなしていて、森式として1方式に数える存在です。
なお、「現代国語表象速記法」は森式です。
 
森下 等の体系
 形容詞・形容動詞・副詞・動詞・助動詞等、文法的見地から見た符号配置の研究があります。
 なお、昭和43年3月28日に発行をされた市ケ谷出版刊の「中根式速記」は中根速記学校の池田正一/中根洋子と共著になっておりますが、内容は中根速記学校の体系ではなく森下等の体系です。
 
武部良明の体系
 「学生速記」という名称の書物の割には、かなり高度の理論展開をしております。基本文字は多少違いますが、理論的に従来の中根式に十分応用ができます。指導者・研究者には一読に値する書です。
 実務に使用されていた人(香川県・中嶋雅幸)を1人確認しております。
 
吉川欽二の体系
 植田裕、武部良明、中根速記学校T、森卓明の体系を参考にし、吉川欽二が研究した独自の体系である。法則的にもかなり細かい部分まで研究されております。
 中根式の指導者・研究者には必読に値する文献です。
 
長岡商業高校の体系
 新潟県立長岡商業高校速記部で指導されている体系です。戦前に速記部が設立をされたようです。
 
金沢二水高校の体系
 石川県立金沢二水高校速記部で指導されていた体系です。昭和35年4月に北川暉基(てるもと)が速記部を設立しました。(現在は廃部)
 
学習院大学の体系
 学習院大学輔仁会速記研究会で指導されていた体系です。昭和38年6月15日に北川暉基が速記研究会を設立しました。金沢二水高校の体系に中根速記学校の体系T、稲垣正興の体系を折衷したものです。
 昭和47年の「小林寛著:速記教本」から、学習院大学の法則体系は独自性が失われて、テキストの改訂をするごとに中根康雄の法則体系に近づいております。
 平成3年度には、中根式の指導ができる者がいなくなり、早稲田大学邦文速記研究会の指導を受け早稲田式に切りかえております。
 
関西大学の体系
 関西大学速記部で一時期、中根式と山根式が同時に行われていました。稲垣正興の体系、植田裕の体系に、兼子次生が改良した符号を折衷した体系です。中根式は自然消滅しました。(現在は山根式のみ指導されております)
 
各法則体系の文献類
 
中根正親の体系
 中根正親著:中根式 日本語速記法(中根式速記法講解)(大正5年2月)
 本山桂川著:応用速記術の秘訣(大正14年12月1日)
 兼子次生著:中根式日本語速記法 第二編(昭和56年4月29日)
 
中根正世の体系
 中根正世著:通俗 中根式速記法(昭和2年11月15日)
 中根正世著:中根式速記講座 上巻/中巻/下巻(昭和22年5月20日)
 中根正世著:中根式速記(昭和27年4月)
 中根正雄著:中根式速記通信教育 普通科/高等科/研究科コース(昭和44年3月5日)
 
中根速記学校の体系T
 中根洋子著:中根式速記の基本教程(昭和31年12月25日)
 菅原 登筆:中根速記学校卒業生のノート(指導:池田正一 昭和44年4月入学)
 横溝武雄筆:中根速記学校卒業生のノート(指導:池田正一 昭和49年4月入学)
 根岸幸子筆:中根速記学校卒業生のノート(指導:西宮純一郎 昭和49年4月入学)
 水木能子筆:中根速記学校卒業生のノート(指導:江森 武 昭和52年4月入学)
 渡辺芳子筆:中根速記学校卒業生のノート(指導:江森 武 昭和53年4月入学)
 
中根速記学校の体系U
 中根康雄著:速記マスターノート 上巻(昭和48年6月25日)
 中根康雄著:速記マスターノート 下巻(昭和50年4月5日)
 中根康雄著:全国速記検定試験5段合格への道 プロ検定1級合格への道
      (昭和57年2月)
 
植田 裕の体系
 植田 裕/川田秀幸著:中根式速記法原理 上巻(昭和27年4月3日)
 植田 裕/川田秀幸著:中根式速記法原理 下巻(昭和27年5月3日)
 三野知子筆:高松商業高校速記部員のノート(指導:植田 裕 昭和32年4月入学)
 川田秀幸著:ウツシングのすすめ(昭和42年5月7日)
 田口京子筆:高松商業高校速記部員のノート(指導:植田 裕 昭和44年4月入学)
 植田 裕著:符号の広がり(昭和54年2月10日)
 植田 裕著:中根式速記法における順記法の導入(昭和54年8月27日)
 植田 裕著:ベーシック略符号練習文例(平成13年2月 日)
 
稲垣正興の体系
 稲垣正興著:学生の速記(昭和27年5月1日)
 稲垣正興著:学生の速記(昭和44年4月1日)
 稲垣正興著:速記学習ノート 上(昭和50年4月1日)
 稲垣正興著:速記学習ノート 下(昭和49年9月1日)
 稲垣正興著:高校速記クラブ 指導の手引き(平成4年4月1日)
 
森 卓明の体系
 森 卓明著:超中根式速記法(昭和6年12月5日)
 森 卓明著:中根式表象法 速記通信教室(昭和32年7月)
 
森下 等の体系
 中根速記協会:季刊ステノ−速記研究誌−No.1(P42〜P48)(昭和32年8月4日)
 中根速記協会:季刊ステノ−速記研究誌−No.2(P31〜P35)(昭和33年3月31日)
 池田正一/中根洋子/森下 等著:中根式速記(昭和43年3月28日)
 
武部良明の体系
 武部良明著:独習 学生速記(昭和16年5月25日)
 
吉川欽二の体系
 吉川寿亮著:中根式速記研究 基礎編(1)/(2)(昭和42年1月)
 吉川欽二著:中根式速記の研究(昭和56年8月1日)
 吉川欽二著:中根式速記法教程−中根式速記法基本編−(平成8年5月15日)
 吉川欽二著:中根式速記法教程−中根式速記法省略編(1)/(2)−(平成8年5月15日)
 吉川欽二著:中根式速記法研究−中根式を学習された方に−(平成9年9月9日)
 
中根式カナの体系
 中根正雄著:ひらかな、カタカナ応用 即席速記法(昭和42年5月20日)
 中根正雄著:だれでもすぐに使える 簡易速記法入門(昭和47年9月10日)
 中根正雄著:だれにでもすぐ役立つ スピードメモ法(昭和53年4月15日)
 中根康雄著:1時間でマスター スピードメモ法 筆記力がなんと3倍になる
       (昭和59年8月31日)
 中根康雄著:情報速メモ術 聞き書き力を3倍にする実戦教本(昭和63年1月21日)
 
関西大学の体系
 兼子次生著:研究ノート(昭和40年10月21日)
 
学習院大学の体系
 笈川弘巳著:中根式速記教程(昭和44年10月3日)
 小林 寛著:速記教本(昭和47年12月21日)
 
金沢二水高校の体系
 下谷政弘著:中根式速記研究書(昭和36年10月20日)
 
長岡商業高校の体系
 長岡商業高校速記部編:中根式速記(昭和50年3月)
 高野伸子筆:新潟県立長岡商業速記部員のノート(昭和50年4月入学)
などが現存しております。
 
6.指導者研修会開催について
 現在、中根式に限らずプロ速記者や指導者でも「速記史」に対して非常に知識が低い人が多くおります。
 プロ速記者や指導者に限らず、速記界全体を見ても「速記史」に対して非常に知識が低いのは残念なことです。
 中根式に限らず他方式の指導者の中には自己が使用している方式の創案年代、創案者、方式の系統を知らない人もおります。これは、その教授所で速記史を指導していないからだと思いますし、田鎖綱紀が、速記を発表した年代を知らない人もおります。
 速記指導法とともに速記史(西洋史及び日本史)の勉強をする必要があります。
 指導者研修会は5日から1週間程度が理想的だが、実際には上記の科目を履修するのには少なすぎるかもしれませんが、指導者として必要最小限の内容だけを講習をすればよいと思います。
 科目によっては講習をしなくても、教範を読むだけで十分に理解できますが、「速記指導実習」に関しては教範を読むだけでは理解できません。
 指導者自身が教範を読むだけで十分に理解ができるものばかりですが、問題なのは、指導者自身が真剣に教範類を熟読するかどうかです。
 
7.使用教範類について
 この「速記指導者養成計画案」において「速記指導者養成」を想定してみました。
 実際の運用に際して使用する教範類における主な内容を紹介してみましょう。
 下記に掲げた教範類は、速記指導者としての知識で必要最小限度の内容を列挙しております。
 いずれも熟読をするだけで十分に理解できるものばかりです。
 
速記概論関係
速記概論:大阪早稲田速記専門学校(兼子次生著)昭和54年3月20日発行
内 容
1.文字と文化             4.速記と書字材料
2.古代と現代の速記          5.速記の基本原理
3.速記の形態と用法          6.速記の定義
 
速記学関係
速記研究:速記文化研究所(兼子次生著)平成2年7月7日発行
内 容
1.速記の芽生え            13.表記単位
2.速記という定義           14.発展過程
3.速記手段              15.音の取り扱い
4.流派のいわれ            16.符号性質
5.速記符号の書記方法         17.全記法
6.現行の分類とその定義        18.縮記法
7.表記思想              19.略記法
8.創案者の線態嗜好          20.省記法
9.分類のレベルについて        21.符号形態(連綴法)
10.符号形態観             22.線界処理
11.符号価値観             23.速記法設計
12.基本思想の2大潮流
 
速記の科学:速記文化研究所(兼子次生著)昭和57年9月16日発行
内 容
1.書くいとなみ            4.符号創出理論
2.速記法理論             5.符号書記理論
3.符号式速記法理論
 
速記用語辞典:紀州速記研究所(吉川欽二著)平成8年12月20日発行
 
速記方式学関係
日本速記方式発達史:日本書房(武部良明著)昭和17年11月25日発行
内 容
1.序説                8.長音と促音
2.基本文字1             9.畳音の縮字
3.基本文字2             10.付帯音縮字
4.基本文字3             11.数詞の書法
5.基本文字4             12.省画の問題
6.濁音の表示             13.略法の問題
7.拗音の表示             14.速記方式
 
速記文字集:菅原速記研究所(菅原 登編)昭和53年10月1日発行
内 容
1.速記方式の基礎           6.速記方式別表
2.各派のモデル方式          7.速記方式発表年代表
3.速記文字構成符号集         8.速記方式派別表
4.速記方式数             9.速記方式系統図
5.速記概論              10.速記方式基本文字表
 
速記基本文字総覧:HP速記道楽(図版:管理人/データベース:編集長)
内 容
1.速記方式学入門           3.速記基本文字総覧別表
2.速記基本文字総覧
 
速記史関係
日本速記百年史:社団法人日本速記協会(武部良明著)昭和58年10月28日発行
内 容
1.日本語速記の成立          4.内部整備の努力
2.速記実務の発展           5.速記文化の復興
3.速記教育の向上           6.現在の情勢
 
速記の歴史〈西洋編〉:社団法人日本速記協会(向井征二著)昭和48年3月1日発行
内 容
1.古代〜中世前期           7.近世(18・19世紀)
2.中世末期〜近世           8.近世(18・19世紀)
3.近世(17世紀)           9.近世(18・19世紀)
4.近世(17世紀)           10.近世(19世紀)
5.近世(18世紀)           11.近世(19世紀)
6.近世(18・19世紀)         12.近世(19・20世紀)
 
速記指導関係
速記要訣:学校法人川口学園(吉川欽二著)昭和61年8月10日発行
内 容
1.上達について             5.練習方法について
2.練習の秘訣              6.速記の楽しみ方
3.聞き方と書き方の秘訣         7.上達のヒント
4.読み方と訳し方の秘訣
 
速記教育概論:紀州速記研究所(吉川欽二著)平成6年8月発行
内 容
1.速記教育ということ         3.練習法の指導
2.速記法の指導            4.悩みに答える
 
速記講話 ―速記を教える―:紀州速記研究所(吉川欽二著)平成6年8月発行
内 容
1.速記指導とは            17.指導者と学習者の関係
2.速記指導の特徴           18.学習時間について
3.「反復」という要素          19.「教材」について
4.「速記行為」について         20.「むだ」について
5.「速度」ということ          21.「速記」について
6.速記指導の3要素          22. 速記の歴史・速記方式 
7.指導者に要求されるもの       23.速記文字の書き方の原則
8.速記法における3要素        24.「早稲田式」について
9.練習における3要素         25.基本文字の位置づけと早稲田式の体系
10.学習段階の3要素          26.基本文字以前の指導
11.言葉の3段階の分析         27.「儀式」について
12.速記文字指導に当たっての3要素   28.清音について
13.学習者の「性格」と「指導法」    29.拗音について
14.指導における留意点         30.撥音・詰音について
15.上達について            31.変音・重音について
16.学習者の欠落部分のチェック     32.文章の書き方について
※早稲田式に関した説明を中根式に置きかえて熟読すると理解がしやすいと思います。
 
中根式関係
中根式速記法教範 速記法編:菅原速記学研究所 平成10年1月12日発行
内 容
T.予備知識              21.1uイ尾音記法
U.速記の概念             22.1uN尾音記法
V.速記用語              23.常用語
W.速記の別名             24.数詞
X.速記史               25.副詞
Y.練習用具              26.口語助動詞記法
1.清音記法              27.摘記略法
2.加点字記法             28.接記略法
3.N尾音記法             29.各行縮記法
4.濁音記法              30.9u略法
5.半濁音記法             31.中間小カギ略法
6.詰音記法              32.連続交差略法
7.長音記法              33.冠上略法
8.拗短音・拗長音記法         34.抄下略法
9.インツクキ法            35.表意略法
10.繰り返し記法            36.頭部加点法
11.助詞記法              37.換記法
12.特定符号              38.外来語記法
13.加点法               39.融合記法
14.ッテ・ッタ・ロウ          40.交差略法
15.ウスヌムル尾音記法         41.平行法
16.コソアド語             42.大カギ順記法
17.短記法               43.特定略法
18.接触動詞              44.国名・地名の書き方
19.前字利用法             45.特殊漢音縮記法
20.符省法               サイン符号のまとめ
 
※「中根式速記法教範 資料編」には中根式の指導者として、当然知っておかなければならない中根式関係の必要なことを掲載しております。
 
中根式速記法教範 資料編:菅原速記学研究所 平成10年1月12日発行
内 容
1.速記の歴史             29.速記の進歩のために(川崎 明)
2.速記方式の基礎           30.新しい書き方(池田正一)
3.速記方式史             31.動詞助動詞語尾省略法(稲垣正興)
4.中根式の歴史            32.最小線の考え方(稲垣正興)
5.中根式創案当時の思い出(中根正親) 33.第二助詞(中根速記学校)
6.大正速記秘話(花樹 薫)      34.特殊上段(中根速記学校)
7.我が生涯の詩と真実(中根正親、インタビュー・兼子次生)35.逆記符号の省略(稲垣正興)
8.中根正雄会長に聞く(インタビュー・兼子次生)36.「あります」などの略字考(池田正一)
9.速記史再発掘U(中根正雄、インタビュー・池田達郎) 37.助動詞をきわめよう(森下 等)
10.中根式の流派            38.衆議院式と植田派における一考察
11.中根式速記法講解(中根正親)    39.中根式及び中根式系統についての評価
12.立案の根本方針(中根正雄)     40.「日本速記方式発達史」抜粋(武部良明)
13.基本線について(森 卓明、中根正世)41.指導者資格の認許制度
14.速記はどのように教授すべきか(植田裕)42.段位認定制度
15.新しい教え方(垣内勝司)      43.速記教室開設・運営制度
16.我が式の誇る省略法(池田正一)   44.指導者認定制度に関する改正案
17.福岡支部便り(中根速記協会福岡支部)45.中根式関係資料
18.研究発表を待望す(池田正一)    46.速記指導者用問題「速記史」
19.地方における速記指導について(中根速記協会)47.速記指導者用問題及び解説
20.学習文例その他(熊田力三郎)    48.「速記史」問題五択
21.助詞の書き方について(中根式速記協会)49.「速記法」問題
22.調査委員会の設置を(川村秀蔵)   50.「速記法」問題解答
23.昭和47年度臨時総会の御報告(中根式速記協会) 51.速記検定試験制度
24.中根式速記の心理的構成(加茂秀雄) 52.指導者用教範類
25.曲線カ行と斜線タ行(植田 裕)   53.速記士法案
26.中根式改変是非論(星野義男)    54.世界速記方式系統図
27.50音符号に関する問題点(荘戸繁土) 55.速記方式系統図
28.中根式基本文字の優秀性について(森卓明)
 
中根式速記法教範 速記法指導編:菅原速記学研究所 平成10年4月15日発行
内 容
1.速記の指導法・練習法(中根正雄)  3.速記法指導(プロ用及び指導者用)
2.速記法指導計画           4.速記法指導(アマチュア用)
 
中根式速記法体系(上巻・中巻・下巻):菅原速記研究所 昭和59年7月2日発行
内 容
1.中根式の流派            40.動詞
2.参考文献              41.特殊上段(動詞)
3.符号について            42.形容詞
4.清音記法              43.加点法
5.切り線法・ゆりつぎ法        44.短記法
6.曲線符号の連綴           45.語尾利用法
7.繰り返し記法            46.連続法
8.濁音記法              47.前符号を応用するもの
9.半濁音記法             48.上段
10.拗音記法(拗短音・拗長音)     49.下段
11.長音記法              50.〇ッテ・〇ッタ・〇ロウ
12.詰音記法              51.換記法
13.改良基本文字            52.摘記略法
14.ウ列加点文字            53.接記略法
15.ア行表象法             54.中間小カギ略記法
16.頻出音節縮記法           55.連続交差略法
17.ウスヌムル縮記法          56.9u略法
18.S記法〔逆記・順記〕        57.極大線
19.加点インツクキ法          58.超最大線
20.略画法               59.表意略法
21.符省法               60.指事略記法
22.漢音縮記法             61.冠上略法
23.特殊インツクキ法          62.抄下略法
24.P記法               63.頭部加点法
25.Z記法               64.スミニヒカリシ記法
26.和語縮記法             65.特定略法
27.外国語縮字法            66.交差法
28.数詞                67.円形法
29.SF・SM記法           68.同音平行法
30.逆流・反転・借用          69.表象法
31.助詞                70.後句省略法
32.表象助詞              71.併用略字
33.接触動詞              72.臨時文字
34.口語助動詞             73.中根式関係資料
35.指示代名詞             74.縮記法・略記法別称一覧表
36.M・M記法             75.状況記法
37.常用語               76.シンメトリー
38.動詞                77.逆・逆記法
39.文末の処理             78.楕円逆記
 
独習 学生速記:日本書房(武部良明著)昭和16年5月25日発行
内 容
1.速記文字              14.動詞語尾(2)
2.直線文字              15.尾音縮字法
3.弧線文字              16.形容詞語尾
4.特殊文字              17.逆記文字(1)
5.添詞(1)             18.逆記文字(2)
6.縮字子音              19.動詞活用
7.助辞(1)             20.逆記符号(1)
8.数字(1)             21.逆記符号(2)
9.添詞(2)             22.順記文字
10.数字(2)             23.縮字と略字
11.同列縮字法             24.上段略字
12.動詞語尾(1)           25.特殊略字
13.助辞(2)
 
中根式速記法研究:紀州速記研究所(吉川欽二著)平成9年9月9日発行
内 容
1.基本文字              9.求心法
2.インツクキ省略法          10.ラ行省略法
3.最大線省略法            11.同列縮字法
4.重音省略法             12.逆記文字
5.助詞                13.順記文字
6.上下段使用法            14.数詞
7.助動詞               15.外国音字
8.中間小カギ法            16.簡字構成法
 
中根式速記教程:学習院大学輔仁会速記研究会(笈川弘巳著)昭和44年10月3日発行
内 容
1.基本文字              25.数詞
2.詰音                26.一般略字
3.長拗音               27.この、その特別応用
4.拗音                28.特定略字
5.拗音+ク              29.接触法
6.第1助詞              30.基本文字応用
7.動詞三段活用            31.語尾簡略
8.インツクチキ法           32.円形法
9.上段省略              33.符号
10.下段省略              34.平行法
11.中段省略              35.章句(諺、慣用句)省略
12.こ・そ・あ・ど           36.ウ・ス・ヌ・ム・ルの代字
13.連続法               37.特大線
14.語尾利用法             38.畳句省略
15.交差法               39.頭部加点法
16.一般略字              40.符省法の省略
17.ナイ応用              41.アルファベットの書き方
18.詰音簡略法             42.上段の形容詞的用法
19.外国語省略法            43.加点インツクチキ法
20.節音法               44.特殊上段
21.ウ・ス・ム省略           45.ヒモ状交差法
22.最大線               46.特殊連続交差法
23.加点法               47.同行縮字法
24.第2助詞              
 
研究ノート:関西大学速記部(兼子次生著)昭和40年10月21日発行
内 容
1.加点文字縮記法           8.指事略記法
2.頻出音節縮記法           9.特殊音節略記法
3.最大線略記法            10.動詞書記法
4.中間小カギ略記法          11.形容詞書記法
5.上中下段摘記略記法         12.加点略記法
6.交差平行略記法           13.同行縮記法
7.求心略記法             14.特別符号
 
速記実務関係
速記実務のABC:大阪早稲田速記秘書専門学校(吉川欽二著)昭和62年3月20日発行
内 容
1.速記の依頼を受けたなら       3.原稿づくりは正念場
2.現場の記録の心得は         4.こういうことも役に立つ
 
記録作成実務の要点:速記文化研究所(兼子次生著)昭和60年3月6日発行
内 容
1.言語                 5.通信技術
2.記録の目的              6.文字化技術
3.記録の態様              7.記録業務と印刷業務の連携
4.記録技術
 
速記原稿のつくり方:東京速記士会(宮田雅夫/佐竹康平著)昭和53年3月20日発行
内 容
宮田雅夫                 佐竹康平
速記原稿をどう書くか           なぜ修文をするか
1.何が問われているのか         1.「修文」の定義
2.言葉の発生と文字の出現        2.修文における前提条件
3.日本語の特色は何か          3.修文対象項目の例
4.話し言葉の文字化
5.だれが文字化するか
6.どう文字化するか
 
要点速記の問題点と処理法:東京速記士会(武部良明著)昭和54年9月30日発行
内 容
1.速記の役割              7.短縮を行う単位
2.逐語記録の効用            8.発言の処理法
3.逐語記録の短縮            9.短縮記録の問題点
4.短縮の可能性             10.検索のための短縮
5.短縮記録の処理法           11.どの段階で短縮するか
6.作業の基礎となる考え方        12.需要の開拓
 
 以上、紹介した教範類の内容は指導者として熟読しなければならない最小限度のものばかりです。このほかにも参考になる教範類は幾らでもあります。
 上記の教範類はほんの一部分でてすが、一度でも熟読をしただけで速記関係の知識がかなり得られることだけは保証します。
 我が国における「速記関係文献目録」は、下記の書物に掲載をされております。
1.日本速記百年記念会「日本速記百年記念誌」(昭和58年10月28日発行)
   明治16年7月から昭和57年11月まで発行されたもの
   169ページから222ページまで
2.日本速記百二十年記念会「日本速記年表/速記関係文献目録」(平成15年5月14日発 行)
   昭和58年1月から平成15年1月まで発行されたもの
   69ページから115ページまで
を参照してください。
 この「速記関係文献目録」を見れば、参考になる教範類を幾らでも探せると確信しています。
 中根式関係の中で、「菅原速記研究所」及び「菅原速記学研究所」で作成したものは、中根式各法則体系を抜粋したものです。各資料の作成方法には、ある一定の共通した形ができ上がっております。中根式の習得者が縮記法・略記法における説明を書かないでも十分に理解ができるように作成しております。
 中根式関係の各法則体系における縮記法・略記法などの詳しい説明は原本を読むだけで十分です。
 
8.指導者養成方法について
 現在、中根式関係において指導者養成に関して実行ができることは、下記の方法などが考えられます。
1.独 習
 指導希望者自身が教範類の各科目を熟読することです。各教範類の内容は全てが独習できるものばかりです。
 独習の場合は、独習者自身が教範類の収集をすることから全てが始まります。
 独習の場合は、速記界の事情に通暁しており、速記関係機関及び教育機関(社団法人日本速記協会、中根式速記協会・中根速記学校、各速記方式の協会・学校、紀州速記研究所等々)や教範類にも精通していなければ教範類の収集が非常に難しいでしょう。
 教範類を熟読するよりも、教範類を収集することの方に時間がかかることを覚悟しなければなりません。
 指導希望者は、常日ごろから教範類を収集しておく気持ちがなければ、急には間に合いません。
 独習の場合は、生活環境、個人差などを考慮すれば、期間の特定は不可能ですが、最短期間は1年間から1年半を標準に設定をすればよいのではないでしょうか。
 指導実習に関しては速記の指導をしながら、経験を積んでいく方法しかありません。
2.通信教育
 中根式速記協会が通信教育を行い、各科目の教範類を独自に作成することです。
 通信教育の場合は、独習と同様に生活環境、個人差などを考慮すれば、期間の特定は難しいので、最短の受講期間は1年間ぐらいが適当であると思います。受講期間が、余りにも長過ぎると受講者の方がだらけてしまいます。
 指導実習に関しては速記を指導をしながら、経験を積んでいく方法しかありません。
3.速記教育機関
 中根速記学校に「速記指導者養成科」を設置して各科目の教範類を作成することです。
 速記指導者養成科の期間は1年間ぐらいが適当です。
 あるいは各方式の速記教育機関と協力をして「速記法研究」以外の科目を分担して履修する方法も考えられます。
4.研修会
 上記の「独習」及び「通信教育」の修了者を対象とし、「速記指導法」に関しては指導者としての最低限必要な内容を中心に3日から5日間の研修会を実施することが望ましいと思います。
 いずれの方法も、中根式速記協会が事前に各科目の教範類を作成することは大変な作業ですが、符号速記の将来的な見地から考えれば一時的な作業です。
 スキャナーを使用すれば、人間が最初から入力をするよりも作業効率がよいと思います。各方式間における著作権の問題を解決するだけです。
 指導者として、特に必要な科目は「速記法」「速記法研究」「速記指導法」「速記史」の4科目です。
 「速記法」は、速記学校の卒業生、通信教育修了生は既に習得しているので特に問題はないと思います。
 特に「速記法」で問題があるとすれば、高校の速記部出身者及び大学の速記研究会出身者、独習者の「速記法」における法則体系の知識的レベルです。
 特に、中根式関係では高校速記部出身者における、法則体系の知識的レベルには非常に大きな開きがあると思います。
 高校の速記部では、法則体系を熟知した顧問が指導をしている場合には問題がないと思います。全国各地における高校の速記部では、ほとんどの顧問が「速記」の知識がなく、3年生が1年生を指導しているのが現状です。
 法則体系を指導する3年生の指導能力が低ければ、全体的な法則体系が指導されず、年々、速記法体系の内容が減少した状態で伝えられております。最終的には省略法が少なくなり「インツクキ法」と「助詞」ぐらいになっております。高校速記部ではそういう状況が現実的に行われております。大学の速記研究会においても同じようなことが言えます。要は指導する側の能力次第で法則体系の全体が伝えられるか減少するかが決められると思います。
 上記の中で、即応できる方法は「独習」であり、完璧な方法は「中根速記学校」に「速記指導者養成科」を設置することです。
 指導希望者自身の地域的な生活基盤及び年齢などを考慮すれば、「独習」及び「通信教育」が中心になると思います。
 
.科目における時間数
 速記教育機関における期間を1年間と設定しました。指導者養成対象者と科目における時間数を、1単位時間を50分とし、週に30時間(1日6時間)としました。
 以上の観点から、速記教育機関における科目の時間数を割り出してみました。
科目における時間数     実質 約220日(週5日制)44週間
科目/対象者 速記学校卒業生 通信教育修了生 速記部出身者 独 習 者
速 記 法
速 記 概 論
速 記 学
速記方式学
速 記 史 T
速 記 史 U
速記指導法
速記法研究 10 10 10 10
速 記 実 務
週合計時間数 30 30 30 30










 
 
※「速記法」については各自が習得をした体系を学ぶ。
 「速記術」については習得を前提にしているので、科目の時間数には入れておりません。
 「速記概論」では速記の全般的な内容。
 「速記学」では速記を学問的な見地から学ぶ。
 「速記方式学」では各方式の歴史的な流れを学ぶ。
 「速記史T」は日本史です。
 「速記史U」は世界史です。
 「速記指導法」は「速記法」及び「速記術」の指導実習を含む。
 「速記法研究」では中根式における各法則体系を学び、テキストの作成方法も含む。
 「速記法研究」では、「スピードメモ法」も含めた時間数です。
 「速記実務」では実務に関する知識を学ぶ。
 以上は「速記教育機関」における科目の時間数ですが、「独習」や「通信教育」に関してはどうでしょうか。
 極論をすれば、私は、文献さえそろっていれば「独習」だけで目標の95%は達成できると考えております。後の5%は研修会で最低限の内容を研修すれば済むと考えております。
 「独習」をする場合には1日3時間として、計算をすれば1年間もあれば十分です。
 試しに「速記教育機関」における1年間の時間を計算してみよう。
 最近は、完全週休2日制の導入によって土日が休みです。祭日、夏休み、冬休み、春休み、ゴールデンウィークも含めると、実質は約220日です。
 速記教育機関の場合
  実質 約220日(週5日制)44週間
    1日(50分×6単位)=300分(300分÷60分=実質5時間)
    5時間×220日=1.100時間
 
 試しに「速記教育機関」における1,100時間を「独習」の場合について、単純計算をすると下記のようになります。
1)独習の場合(1日3時間)
    1,100時間÷3時間=366.6666日
    366.6666日−365日=1.66666日
    365日×3時間=1,095時間
    1,100時間−1,095時間=5時間
   ※残った5時間を1時間ずつ休日に配分します。
2)独習の場合(1日2時間)
    1,100時間÷2時間=550日
    550日−365日=185日(1年6カ月+5日)
3)独習の場合(365日を均等に割る)
    1,100時間÷365日=3.013時間
    365日×3時間=1,095時間
    1,100時間−1,095時間=5時間
   ※残った5時間を1時間ずつ休日に配分します。
 
 単純計算では上記のようになります、最近は完全週休2日制の導入により、計算の仕方が変わってきます。
  平日を248日、土・日、祭日を117日と計算します。
1)独習の場合(平日3時間+休日3.042時間)
    平日248日×3時間=744時間
    1,100時間−744時間=356時間
    356時間÷117日=3.042時間
    117日×3時間=351時間
    356時間−351時間=5時
   ※残った5時間を1時間ずつ休日に配分します。
2)独習の場合(平日2.5時間+休日4.102時間)
    平日248日×2.5時間=620時間
    1,100時間−620時間=480時間
    480時間÷117日=4.102時間
    117日×4時間=468時間
    480時間−468時間=12時間
   ※残った12時間を1時間ずつ休日に配分します。
3)独習の場合(平日2時間+休日5.162時間)
    平日248日×2時間=496時間
    1,100時間−496時間=604時間
    604時間÷117日=5.162時間
    117日×5時間=585時間
    604時間−585時間=19時間
   ※残った19時間を1時間ずつ休日に配分します。
 上記のように、1)〜3)の方法を選べば、自分に合った1年間の学習計画が組めるはずです。
 この計算は「速記教育機関」における1,100時間を単純に計算をしたものですが、「7.使用教範類について」で挙げている最低限の教範を熟読する時間は、「指導実習」を除くと実際にはもっと短くなるはずです。
 以上のように「速記指導者養成計画案」には「社団法人日本速記協会」及び「中根式速記協会」において「速記指導者養成」に関しては実現が可能なことを書いております。
 要は「速記指導希望者」が教範類を熟読するかどうかにかかっているのではないかと考えております。
 参考までに、「速記法」「速記概論」「速記史T」「速記史U」「速記指導法」「速記法研究」の4科目を中心にした「科目の時間数」を作成しました。
 
科目における時間数     実質 約220日(週5日制)44週間
科目/対象者 速記学校卒業生 通信教育修了生 速記部出身者 独 習 者
速 記 法
速 記 概 論
速 記 史 T
速 記 史 U
速記指導法 12 12 12 12
速記法研究 14 14 14 14
週合計時間数 30 30 30 30







 
 
 次に、「速記教育機関」における、初心者から速記指導者を養成するまでの科目と時間数を作成しました。
 本科と専科は、科目の関係で前期と後期にわけております。期間は3年間に設定しました。
 本科(1年生)、専科(2年生)、研究科(3年生)。
 
科目における時間数  実質 約220日(週5日制)44週間
科目/学年 本科前期 本科後期 専科前期 専科後期 研 究 科
速 記 法 22
速 記 術 25 21 22
速 記 概 論
速 記 学
速記方式学
速 記 史 T
速 記 史 U
速記指導法 10
速記法研究 10
速記実務
用 字 例
パソコン
週合計時間 30 30 30 30 30













 
 
1.「速記法」は本科前期において、体系のほとんどを終わらせて、後期では「速記術」  が主流になります。
2.「速記術」では速度練習及び反訳時間を含めた時間です。
3.本科及び専科はプロ速記者養成の時間割と同じです。
4.研究科における「速記術」は、速記力を落とさない程度に組んでおります。
5.「パソコン」は反訳におけるパソコン実習です。
6.この他にも「生涯学習」の通信教育を修了しておくことが望ましい。
7.「生涯学習」の通信教育は、財団法人実務教育研究所が文部科学省認定社会通信教育「生涯学習指導者養成講座/生涯学習ボランティアコース」として実施しておりますので、通信教育を修了しておくことを勧めます。速記の通信教育と比べると学習はかなり楽なものです。
 速記指導者は速記教育をする上でも生涯学習についての基礎的な知識も必要です。速記教育を考える上でも参考になります。
※財団法人実務教育研究所(〒160-0015 東京都新宿区大京町4  03−3357−8153)
 参考までに「生涯学習指導者養成講座/生涯学習ボランティアコース」の内容を紹介します。
第T単元/生涯学習とボランティア活動
 現代社会とボランティア/学習ボランティア活動の方法/学習ボランティアの活動/学習ボランティアの養成と活用
第U単元/生涯学習の方法
 生涯学習の原理/個人学習の基本/集団学習の基本/生涯学習の展開
第V単元/学習メニューと学習プログラム
 学習メニュー方式による学習/学習メニューの作成/学習プログラムの作成/学習プログラムの作成
第W単元/生涯各期の学習と教育
 乳幼児期と少年期の教育/青年期の学習と教育/成人期の学習と教育、女性の学習と教育/高齢者の学習と教育
第X単元/成人教育と学習の理解
 成人の発達/成人教育の原理/成人の生活と学習/成人の学習構造
第Y単元/生涯学習と生涯教育
 生涯学習への道/生涯教育論の系譜/我が国の生涯学習の施策と動向/地域における生涯学習の展開と課題
 
10.生涯学習インストラクター制度
 財団法人社会通信教育協会発行の「生涯学習インストラクター機関紙」21号(平成17年1月5日発行)から「生涯学習インストラクター」制度の概要を紹介します。
  〔趣 旨〕
 生涯学習インストラクター制度は平成3年度に財団法人社会通信教育協会が文部科学省の助成を受けて開設したものです。文部科学省認定社会通信教育講座を修了された方々の学習成果を積極的に評価認定し、全国各地の地域における多様な生涯学習活動を推進・指導する人材養成を図るために、生涯学習インストラクターの資格制度を開設しました。より多くの方々の生涯学習推進者としての活躍を期待しております。
  〔対象者〕
 当協会に加盟する団体が実施する文部科学省認定社会通信教育講座等を修了された方。(なお、対象講座等詳細は各実施団体でお確かめください)
  〔役 割〕
 都道府県または市町村教育委員会、生涯学習センター、青少年教育施設、婦人教育施設、図書館や博物館、企業や団体が行う各種学級会、学級活動、公開講座、グループ活動などで、指導・助言、および支援活動をそれぞれの依頼に応じて行います。
  〔資 格〕
  ●生涯学習2級インストラクター
  ●生涯学習1級インストラクター
 当協会の認定資格で、2級は指導補助的な活動をし、1級は指導者的な活動をします。なお、それぞれの指導分野ごとに認定します。(例)書道の指導分野ですと、生 涯学習1級インストラクター(書道)となります。
 取得者に対しては、生涯学習2級インストラクター・生涯学習1級インストラクターの資格認定書の交付と認定証を付与するとともに、協会・人材バンクに登録。また、各都道府県市町村教育委員会等へ登録者名簿が配布されます。
  〔取得方法〕
  ●生涯学習2級インストラクター
 対象講座を受講・修了し、所定の申請手続きにより申請(※申請時満18歳以上可)、資格認定審査を経て取得します。
  ●生涯学習1級インストラクター
 生涯学習2級インストラクターの有資格者で、生涯学習に関する基本的な理論や技能の体系的な学習を目的とした、当協会の指定通信教育講座「生涯学習指導者養成講」(標準学習期間4カ月、2カ月間の延長可)6単元構成で、うち4単元分の履修が必要)を受講・修了し、所定の申請手続きにより申請(※申請時満25歳以上可)、資格認定審査を経て取得します。
  〔問い合わせ先〕
 詳しい案内書をご希望の方は、〒114-0015 東京都北区中里1−15−7 財団法人社会通信教育協会 生涯学習インストラクター「案内書」係 まで、ご請求ください。 なお、返信用封筒(80円切手を貼る)を同封してください。 03−5815−8432
 以上が「生涯学習インストラクター制度」の概要です。
 「生涯学習インストラクター」制度が、平成4年3月に発足して以来、平成17年1月5日現在で全国で22,070名が登録しております。
 その内訳は「生涯学習1級インストラクター」は3,887名、「生涯学習2級インストラクター」は18,183名です。登録指導分野は、書道、ペン習字、英語、パソコン、園芸、盆栽、写真、孔版、校正、生涯学習、服装、トレース、宅建、食品衛生管理、採鉱地質、簿記、きもの、栄養と料理、マネジメント全般、企業会計、中小企業診断士、編物手芸、レタリング、社労士、経営労務、旅行主任者、古文書、俳句等とさまざまですが、残念ながら「速記」は書かれておりません。
 財団法人実務教育研究所では「生涯学習2級インストラクター(生涯学習)」の有資格者を対象に平成13年11月1日から平成14年2月28日までの限定で「生涯学習1級インストラクター養成のための特別講習」を行いました。その後、随時「特別講習」が行われております。「特別講習」を履修すると「生涯学習1級インストラクター(生涯学習)」の資格申請ができます。
 参考までに早稲田通信教育センターで行っている「早稲田速記講座」の全科コースを修了すれば「生涯学習2級インストラクター(速記)」の資格申請ができます。速記講座を修了後2カ月半以内に申請をしなければなりません。
 平成15年5月26日現在、「生涯学習2級インストラクター(速記)」の資格を持っている人が全国で3人おります。もちろん、全員が早稲田式です。
 
 
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