時代背景

 中根式の時代背景を考えると、中根正親が大正3年5月10日に中根式を発表し、 大正3年9月に「京都速記学校」を設立した。大正4年9月末に令弟・中根正世 が中根式の普及・研究に着手した。大正5年7月から中根式を普及するために全 国へ講演に回っていた。中根正親は大正7年4月に「両洋学院」(後の両洋学 園)を設立し、大正8年ごろから、中根正世に速記の全てを委ねていた。

 大正8年年末に「京都速記学校」を閉鎖した。

 昭和2年11月に中根正世が活動の拠点を京都から東京へ移した。昭和2年11月に 「新 日本速記学会」(後の中根速記協会)を設立し、同年11月15日に「通俗中根式速 記法」を発行した。昭和4年7月に「中根速記学院」(後の中根速記学校)を設 立して本格的な教育を行った。

 大正9年から昭和4年7月までは、中根正世が全国各地へ講演に回っており、中 根式では教育機関を持たない空白期間でもある。

 本山桂川が大正14年12月1日に「応用速記術の秘訣」を東京崇文堂から中根式の 教科書を方式名を入れないで発行している。

 大阪では千賀高義が「大阪千賀速記本部」、京都成安女子学院では古久保峰吉が 中根式を指導していた。

 初期の京都速記研究所では「中根式速記法通信講座」は中根正親が指導した中根 式を通信教育で行っていた。

 森卓明は超中根式、中根式表象法、現代国語表象速記法を本としてまとめる数年 前には研究の一部分を公開して数年後に著作物を発行している。


 昭和57年10月に竹島茂が森卓明にインタビューを行っており、その中で

竹島 先生の考える速記とは……。

 速記は自由研究すべきものだ、開放すべきものだというのが、わしの考えな んです。

と答えている。

出典:全日本速記士団体連合会機関誌「全速連」第27号(昭和58年9月25日発 行)

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