「清音記法(1)」の第2図に清音表が掲載されておりますが、初心者にはそれぞれの速記文字の線の長さと角度が、見た目だけでは明確に把握できません。 運筆の方向を矢印で示していただき、その方角(A〜E)も一字ずつに付していただきたく思います。また、線の長さを表すユニット数もそれぞれが分かるように表記してください。 |
1.基本文字の長さについて 基本文字の長さはユニット数で示しておりますが、1u=約3ミリということにしております。 基本文字においては「短線」(3u)と「長線」(6u)が基本の長さになりまので、短線が9ミリ、長線が18ミリの長さになりますが、私は初心者の方には速記文字を大きめに書くように指導をしております。 ご参考までに中根正世著「中根式速記」(初版・昭和27年4月発行)では、短線が3ミリ、長線が6ミリで書くようになっております。 また中根洋子著「中根式 速記の基本教程」(初版・昭和31年12月25日発行)では、短線が4ミリ、長線が8ミリで書くようになっております。 速記文字をユニットであらわすようになったのは、植田 裕/川田秀幸著「中根式速記法原理 上巻」(初版・昭和26年11月発行/中根速記協会香川県支部)からです。この「中根式速記原理」では、1u=3ミリの長さになっております。標準的な中根式では短線は3〜4ミリ、長線は6〜8ミリの長さです。 中根式は創案当初から万年筆で書くように設計をされておりますので、速記文字の大きさが他方式よりも小振りにできております。 初歩の段階では濃淡の練習もしますので、シャープよりも2Bの鉛筆を使用します。筆記具等の関係もありますので「中根式速記法入門」では、速記文字を少し大きめに設定しております。 なれてくれば速記文字も自然に小さくなってきます。線の長さは、きちんと定規で測った長さではなく、大体の目安です。1対2の区別ができれば結構です。 2.基本文字の角度について 初心者が清音表見ただけでは、どこが違うのかわからないと思います。まず見分けがつくのは、速記文字の長さが2種類、濃線、淡線の速記文字、加点文字ぐらいだと思います。「ア」と「ラ」、「イ」と「ヤ」、「キ」と「フ」、「ケ」と「ツ」は右上から左下に書くのか、左下から右上に書くのかどうか、というご質問も含んでいると思います。 A角(0度の水平線)で書くのは、カ、コ、ナ行、マ行。 B角(左上から右下の30度)で書くのは、スを除くサ行、タ、ト。 C角(90度の垂直線)で書くのは、ク、チ、テ、ハ、ヒ、ヘ、ホ。 D角(右上から左下の60度)で書くのは、キ、ケ、ス、ヤ行、ラ行、ワ。 E角(左下から右上の30度)で書くのは、ア行、ス、フ、ツ。 この5方向が基本文字の角度になります。いずれも30度単位になっておりますが、分度器できちんと測った角度ではなくプラス・マイナス5度の誤差は大丈夫ですが、最初のうちは、分度器できちんと測り赤線を入れて練習をされるとよいでしょう。なれてくれば大体の角度で書けるようになりますが、神経質に「○度で書かなければいけない」と思わないで練習をしてください。 3.その他 中根式は万年筆で書くように設計をされていると、書きましたがA角、B角、C角、D角は、万年筆で濃淡が出ますが、E角の「ツ・フ」は、濃線では書けませんので、濁音の場合は加点を使うように設計をされております。 最近はシャープを使用しますので、「ヅ・ブ」の速記文字が濃線で書けるようになりました。「グ」は、「ク」が濃線ですので、加点を使います。 「ス」は、2種類ありますが、使い方は「文例」と「中根式の質問箱(1)」を参考にしてください。 ※「清音表」は、矢印を付けたものに差換え済み。 |