・1月13日『雑感』より 「そこで、ここに、主なる頭文字だけを書いて他の部分を省略してあるぞという目標にするために、文字と文字の中間に小カギをつけて結び合わせることにするのであるが、……」 ・『概要』より 「省略しようとする言葉の中の任意の2音を、1/3丸カギによって結びあわせる方法である」 「主なる頭文字」・「任意の2音」を摘出する際の、基準となるような法則めいたものはあるのでしょうか。 例えば、四文字熟語は1字目と3字目の頭文字(深慮遠謀…シエ、頭脳明晰…ズメ)、四文字の副詞は頭と尻(きわめて…キテ、とうてい…トイ)、な〜んていうふうに法則化(?)できれば、非常に作りやすい(設定しやすい)のですが……。 「省略法」というものを、非常に大雑把に言ってしまうと「摘記略法」という括りに大部分が属してしまうと思いますが、 1.頭音摘記略法 2.尾音摘記略法 3.頭尾音摘記略法 4.前音摘記略法 5.後音摘記略法 6.択音摘記略法 といったこれらが、使用者の個々の感覚(フィーリング)ではなくて、「ある法則」に従って、こういう場合はこの略法を使う、なんてことを決めるのは無理なんでしょうか? |
従来の中根式(中根正親先生の体系、中根正世先生の体系、中根速記学校で指導をされた体系)と、植田 裕先生の体系という言葉で説明をします。 従来の中根式では「摘記略法」という概念はありませんが、速記文字を見る限りにおいては、「摘記略法」と思われる法則があります。 「摘記略法」は、植田 裕先生の体系で使用をされております。 従来の中根式で例を挙げると「下段」における口語略字(これ=コ、しかし=シ、ます=マ、だけ=ケ、とき=キ)。中根校の「上段」には「一般上段」(訓音換記法/音訓換記法)と「特殊上段」は摘記略法のように抜き書きする方法です。(新しい=アシい、再び=フヒ、同じ=オジ、たちまち=タち)などがあります。また「9u略法」(最大線)では(質問=シつ、日本=ニ)などが該当します。 摘記略法は植田裕先生が「中根式 速記法原理」によって法則化されたものです。 「中根式 速記法原理」には「摘記略法」の説明に、 摘記略法とは、単語の中ある音節だけを抜き書きして他を類推判読させる方法である。 と書かれております。 「摘記略法」の中には、下記のものがありますが、説明の部分は「中根式速記法概要」に書いてありますので速記文字に相当するものを書きます。 ※片仮名は速記文字、平仮名はインツクキの符号です。 1.頭音摘記略法 〜という=イく、思う=オ、これ、答える=コ、〜から=カ、くらい=ク、去る=サ、それ=ソ、ため=タ、なお、なる=ナ、日本=ニ、また=マ、昔=ム、国=ク、場合=バ、もし=モ 2.尾音摘記略法 考え=エ、必ず=ツ、だけ=ケ、まで=テ、など=ト、ところ=ロ 3.頭尾音摘記略法 同じ=オシ、及び=オヒ、再び=フヒ、もはや=もや、余り=アリ、やはり=やり、あながち=アち 4.前音摘記略法 質問=シつ、賛成=サん、目標=モく、たちまち=タち、あいさつ=アい 5.後音摘記略法 将来=ラい、最近=キん 6.択音摘記略法 があり、択音摘記略法の中には 1)単純摘記略法 あらゆる=アユ。いわゆる=イユ、すこぶる=スフ、ただいま=タイ、なにゆえ=ナユ、新しい=アシい、新しく=アシく、新しき=アシき 2)中間小カギ略法 引き続き=ヒツ、取り締まり=トマ、取り調べ=トヘ ※「取り締まり」と「取り調べ」は同形になりますので区別をします。 3)同音平行法 アジア・アフリカ=アア、なかなか=ナナ、半信半疑=ハハ などが含まれておりますが、「中間小カギ略法」及び「同音平行法」は、摘記略法から独立をした別の「略記法」として存在しています。いずれも速記文字の長さは「基本文字」の3u、6uです。 さらに「摘記略法」を適用したものとして、「9u略法」(最大線)があります。 では、「主な頭文字」及び「任意の2音」を摘記する基準はあるのかどうか、というご質問ですが、法則の概略としては、「漢語」「和語」「外来語」を、どの法則に適用するかです。これは指導者によって使い方が違います。 中根式全体の法則的なことにも関連しますが、 二字の漢語は「インツクキ法」及び「最大線」、「四字熟語」等は「交差・平行法」及び「ヒモカギ法」、「和語」等は「中間小カギ」及び「ヒモカギ法」、「外来語」は「交差・平行法」及び「ヒモカギ法」等々の基準はあります。1つの法則で「漢語」「和語」「外来語」を表すことができますが、主に高頻度の言葉に対して適用をします。 摘記略法によって従来の中根式における「上段」(訓音換記法)「下段」略字を中段であらわすことができます。「上段」「下段」の使い方は「口語助動詞」等(アリマスは上段に「・」、アリマシタは下段に「・」)に使用する程度です。訓音換記法も限定して使うことができます。 特に略記法関係の法則は、あらかじめ決めてから使うことをお勧めします。 |