「質問箱(6)」回答の中の「1.頭音摘記略法」に、 「これ・答える」が「 ─ 」、 「から」が「 − 」という解説がありますが、例えば『これから答える』といった 言葉を書く場合は、これら3本の水平線を「ゆりつぎ」や「ゆすり筆」というよ うな方法で連綴するのでしょうか。 また、「答える」の部分が「答えを」とか「答えます」といったように変化し た場合はどう対処するのでしょうか。 基本文字の「コ」を「答える」という語にあててしまうと、語尾の変化形を書 く場合に不自由に思えるのですが、どうでしょうか。 |
さて、ご質問をいただきました「これから答える」という、速記文字には下記
の法則があります。 下段のラ行省略が続いた場合には、下記の方法があります。 1.つなぎ目に「小円」を入れる。 2.速記文字を離して書く。 この法則は市販のテキストには掲載されておりません。 中根速記学校の書き方ですと、「下段」で「これ=コ」、「から=カ」。上段 で「答える=トウ(訓音換記法)」です。 「下段」に「コカつ」あるいは「コカん」と書いて、上段に「トウ」と書きま す。下段から上段、上段から下段に移動することは決して書きやすい方法ではな いと思います。下段から中段、中段から上段、上段から中段へ移動することは不 便を感じないと思います。 また、上段の速記文字に下段の速記文字を続けて書く場合もあります。「考え ている」は上段にコウと書いて、助詞の「テ」に下段の「いる=ヒ」を続けて書 きます。「考えながら」は「コウ」に「ながら=ヌ」を続けて書きます。「考え 方」は「コウカつ」「考えから」は「コウカん」と書き分けます。 「上段」と「下段」に略字を設けているのは、他の速記文字と区別をするため ですが、植田 裕先生は「摘記略法」を導入することによってこの方法を解決さ れました。中根速記学校では「新しい=アシい」と書きますが、上段に書かなく ても中段に書いても読める書き方です。訓音換記法は上段に書かなければ読めま せんし、訓音換記法には落とし穴があります。「私、思う、伺う」などは「シ」 で書いたらとんでもない目に遭います。特に市議会ですと「私の考え」(上段)、 「市の考え」(中段)では読み間違うことがありますので、「特定略法」で 「私」を設定しております。 「上段」の「訓音換記法」及び「中間小カギ法」は和語などを処理するために 設けられた法則です。「交差・平行法」が出現されるまでは「和語」(世の中、 近ごろ)、及び「四字熟語」(国務大臣)にも使用されておりました。 「これから答える」という書き方は、「コカん」までを書いてから「コ」を離 して書きます。 「コ」を続けて書くのは「こと」の場合です。「答える」の場合は前字に続け ません。 「答える」の変化形は助詞をつけたり、インツクキ法の書き方を応用して書き ます。 下段略字の「ます=マ」、「まする=マつ」ですが、「おりまする」の場合に は「おる」は「ホ」ですから、「ホマん」と書きます。これと同様に「これか ら」は「コカん」と書きます。 |