1ページ 1行目  まず初めに、知的財産権についてお話をしたいと思います。  皆さんは、コピー商品という言葉を聞いたことがありますか。これは、本物と 2行目 そっくりにつくられた、にせもののことであります。このような商品は、とても 安く買うことができます。しかし、本来、アイデアを出して何かをつくり出すと いうのは 3行目 非常に手間がかかることなのであります。私たちがコピー商品を買ってしまうと、 本物をつくった方(ほう)は、その苦労が報われないばかりか、新たに物をつく る意欲をなくしてしまいます。 4行目 このようなことを防ぐために知的財産権というものがあるのであります。  皆さんも、特許でありますとか著作権という言葉を目にしたことがあると思い ます。これは、発明などに 5行目 独占的な権利を与えて保護しようというものであります。近年、この知的財産権 が大きくクローズアップされるようになってきました。  例えば、特許などは、他人が使うことを認めて利用料を取ることもできます。 6行目 一例を挙げますと、アメリカのあるコンピューター会社は、そうした特許の利用 料を取ることによりまして、一年間に千二百億円もの利益を得たそうであります。 米国全体で見ると、 7行目 そのような利益は三兆円 以上にもなっています。  一方、この権利を侵害してしまったときには、多額の賠償金を払わなければな りません。日本においても、このようなケースで百億円を超える支払いを求めら れた企業もあります。 8行目 近ごろ、こうした訴訟はふえる傾向にありまして、賠償金もどんどん高くなって きています。ですから、物をつくるときには、だれかの権利を 侵害していない かどうかについても 9行目 十分調べる必要があるわけであります。  こういった知的財産権にかかわる訴訟というものは、今後とも増加していくと 思われます。そして、それに対応して裁判制度の改革も必要になってくるであり ましょう。 10行目 このような裁判には、今まで以上に専門的な知識が求められます。このため、現 行の制度では限界だという声が上がっているのであります。アメリカには既にこ のような訴訟を主に 11行目 扱う裁判所がありますが、日本にはまだまだそうしたものがありません。ですか ら、日本でも同じようなものができないかということについて、現在、検討が進 められています。 12行目 あわせて、そうした問題に詳しい法律家の育成ということも緊急の課題となって まいります。  それからまた、保有している特許をインターネットで公開しているところもあ ります。こうすることによって、 2ページ 1行目 中小企業でも新しい技術を創造するチャンスが生まれます。そして、開発費を大 幅に減らすことができるのであります。  そういうわけで、知的財産権は、もはや国全体でその保護と 2行目 活用に取り組んでいかなければならないものなのであります。  次に、制服についてお話をします。  制服というのは、例えば学生服のように、その人の 3行目 社会的な立場をあらわすものであります。警察官や看護師さんなどのように職業 をあらわすものもあります。あるいは、男性の背広も広い意味での 4行目 制服と言えるかもしれません。大多数の皆さんが何らかの制服を着た経験がある と思います。ですから、制服に対する思いも千差万別なのではないでしょうか。  きょうは、その中でも、 5行目 特に学校の制服について述べていきたいと思います。  ある学校で制服について議論が起こりました。そこで、生徒会が中心になって アンケートをとったという 6行目 ことであります。しかし、個性であるとか自主性について考えるいいきっかけに なったそうであります。  それでは、まず賛成の意見から紹介していきます。 7行目 一番多かったのは、毎朝着ていく服に迷わなくてもよいし、経済的にも助かると いうものであります。また、学生としての自覚を持てるし、 8行目 統一がとれて一体感も出てくる、こういうものもありました。  一方、反対意見としては、個性や自主性を奪っているという意見が多くありま した。 9行目 つまり、服装は個人が決めることで、強制すべきではないということだと思いま す。また、いつも同じものを着るのは 10行目 余り清潔ではないとの声もありました。  そのほかには、制服でも私服でも好きな方を選択できるようにしておけばいい のではないか、こんな意見も出ました。あるいは、一週間の中で 11行目 一日だけ自由にしてはどうかというおもしろい提案もあったようであります。  このように、いろいろな意見が出されましたが、ともかく学校側が一方的に押 しつけるのはよくないというのが 12行目 最終的な結論のようであります。それぞれの長所を認め合った上で、よりよい方 向を模索していくことが大切だと思います。 3ページ 1行目  ところで、制服に限らず、私たち日本人は、子供のときから、みんなと同じと いうことを求められてきているのではないでしょうか。ですから、人と違ってい ると何となく不安になります。 2行目 そして、自分を積極的にアピールすることが余り得意ではありません。これから 国際社会の中で活躍していくには、そうしたことが不利になることも 3行目 考えられます。  そこで、自己表現のトレーニングとして私服というものを考えてみてはどうで しょうか。人と違っていてもいいわけでありますし、自分と 4行目 違っているものを認めることも大切な勉強だと思います。  いずれにしても、服装はその人の人格をあらわすとまで言う人もいます。本人 は 5行目 もちろんでありますが、周りの人にとっても気持ちのよいものであるのが望まし いと思います。そして、制服にしても私服にしても、自分というものを十分に表 現できれば、 6行目 すばらしいことだと思います。  最後に、コンビニエンスストアについてお話をしたいと思います。  皆さんよく御承知のように、コンビニエンスストアというのは、 7行目 文字どおり、便利さを売り物にしている店であります。それは、いつでも買える という時間の便利さであります。また、すぐ近くにあるという距離の便利さもあ ります。それから、 8行目 いろいろなものがそろっているということも利用する人が多い理由かもしれませ ん。  このような店の形態は、海外から取り入れられたものであります。日本に登場 したのは 9行目 今から三十年ほど前であります。そのころは、買い物をするところといえば、駅 の周りや近所にある商店がほとんどでありました。したがって、これを国内で始 めた 10行目 企業は、日本の社会に受け入れられるかどうか不安だったそうであります。しか し、こういうスタイルは、物すごい速さで 私たちの生活の中に溶け込んでいき ました。 11行目 そうした状況に至るまでには、さまざまな工夫があったわけであります。  まず、商品の管理について、それまでとは違う方法をとりました。もともと、 このようなタイプの店は 12行目 規模が小さいものであります。ですから、少しでも多くの売り場を確保するため に、在庫を保管しておくスペースを減らしました。そして、商品一つ一つの動き を管理して、 4ページ 1行目 売れたものを必要な数だけ調達する方式にしたのであります。こうすることによ って、よく売れるものだけが店に並びます。 2行目 それが合理的な経営にもつながりました。ただ、そうすると、品物を小まめに運 ばなければなりません。そこで、同じエリアに 3行目 店を集中させるなど、配達の仕方も工夫をしていったわけであります。  それから、人々のライフスタイルの変化にも柔軟に対応しました。遅い時間に やってくるお客の 4行目 要望にもこたえるために、生活必需品でありますとか調理済みの食品をそろえて おくようにしました。  一方におきまして、品物を売るということ以外のサービスにも力を入れました。 5行目 公共料金の払い込みや、宅配便の取り扱いを早くから始めています。近ごろでは、 インターネットで注文した本などを受け取ることもできます。 6行目 また、大学の受験料や国民健康保険の保険料を納められるということで話題にも なりました。  さて、今後、コンビニエンスストアはどういう形になっていくのでしょうか。 家の近くにあるという 7行目 利点を生かして、生活に関連するサービスを行うことが考えられます。例えば、 家事をかわりに行ったり、食事を届けるということもあります。あるいは、 8行目 病院や学校など、今まで余り見かけなかったところにも店を出せば、新しい需要 も生まれてくるのではないでしょうか。  これからもますます 9行目 私たちの生活に密着した形で展開していくことを期待したいと思うのであります。