社団法人日本速記協会 第147回速記検定〔平成16年1月〕 2級問題 〔問題文〕分速280字×10分間  @きょうは最初に、エネルギーについてお話をしてみたいと思います。  現在、私たちの生活は、たくさんのエネルギーを使うことによって維持されて います。しかし、日本はエネルギー資源が非常に少ない国でありまして、その約 八割を輸入に頼っているわけであります。主なものとしては、石油や石炭、天然 ガスがあります。特に石油は、ほぼすべてを輸入しています。  石油などの化石燃料は、何十億年という地球の歴史の中で、長い時間をかけて つくられてきました。決して無限にあるものではありません。また、再生産する ことができません。このまま使い続けていきますと、いずれはなくなってしまう わけであります。仮に今のままのペースで使っていきますと、石油はあと数十年 でなくなってしまうそうであります。  さらに、私たちがエネルギーを使うことによって引き起こされている深刻な問 題があります。それは、地球温暖化ということであります。石油や石炭などを燃 やすことによって発生する二酸化炭素が、温暖化に大きな影響を与えていると言 われているのであります。  こうした問題を解決していくために、我が国では、次のような対策を実施して きました。  一つは、省エネルギーということであります。これは、当初は、残り少ない資 源をなるべく使わないようにすることに重点があったわけでありますが、現在で は、地球環境の保全ということに重点が移ってきています。  もう一つは、石油などにかわる新エネルギーを開発することであります。例え ば、太陽の光や風などを利用してエネルギーをつくり出す方法があります。それ から、工場などから出される廃棄物を利用してつくる再生エネルギーがあります。 また、今まで使っていた石油や天然ガスなどを新しいアイデアや技術で/A効率 よく利用するということも、新しい使い方をするという意味で、この新エネル ギーの中に含まれます。  ただ、これらの政策を実現していくためには幾つかの課題が残されています。 コストを下げていくための努力も必要であります。国や自治体からの財政的な支 援も必要でありましょう。そして、国民が取り組みやすい環境を整備することも 大変重要なのであります。  エネルギーは、社会の基盤となる大切なものであります。それをこれからも安 定的に確保していくためには、国や産業界の努力はもちろんでありますが、国民 一人一人も、自分に何ができるかを考えてみることが必要ではないでしょうか。  次に、スピーチについてお話をしたいと思います。  私たちの生活の中では、人前で話をする機会というのが時折あるものでありま す。例えば、結婚式でスピーチを頼まれることもあるでしょう。あるいは、仕事 のときに、大勢の人を相手に話をしなければならないこともあるかもしれません。  そこで、スピーチをしなければならなくなったとき、どんなことに気をつけた らいいのかということを私なりに考えてみました。  まず、大切なことは何かといいますと、自分の伝えたいことを相手に正確に伝 えるということであります。そのためには、難しい言葉はなるべく避けた方がい いと思います。相手にわかりやすい言葉を使って話をするということが重要なの であります。  それから、話は余り長くならない方がいいと思います。どんなにいい内容でも、 だらだらと長い話でありますと、聞いている人は飽きてしまいます。短い話の方 が強い印象を残すということがあるわけであります。  また、話す内容をあらかじめ書き出してみることも/B大事であります。その とき、長々と文章で書くよりも、箇条書き程度にとどめておく方が、ポイントが はっきりして効果的だと思います。その上で全体の構成を考えていくとよいので はないでしょうか。その課程で、むだな部分を削ったり、新しいアイデアを入れ たりしてスピーチの形をまとめていくとよいと思います。  そして、いよいよ内容が固まりましたら、実際に声を出して話してみまして、 周りの人に聞いてもらうのもいいでしょう。あるいは、自分で録音して聞いてみ るのもいいと思います。自分ではきちんとしゃべっているつもりでも、聞き取り にくいところがあるかもしれません。話すときの間のとり方も重要であります。 そういうところを注意すると聞きやすくなるのではないでしょうか。  さらに、話すときの態度や表情も非常に重要であります。人間は先入観を持ち やすいものでありまして、話の中身そのものよりも、見た目でありますとかしゃ べり方などの第一印象で判断してしまいがちなのであります。ですから、そうい う点も考慮に入れる必要があると思います。  さて、いろいろ述べてきましたが、人が感動するのは、話がうまいとか下手と いうことよりも、話す人の人間性があふれていたり、一生懸命に伝えようとする 姿勢が感じられるときだとも言われています。そういう意味では、自分は話が下 手だからうまく伝わらないのではないかというような心配をするよりも、肩に力 を入れずに自分らしく話をしてみるということが大切ではないでしょうか。  それでは最後に、お米について述べてみたいと思います。  昨年は、夏になってもなかなか気温が上がりませんでした。いつもの年であり ますと田んぼが青々としている時期になりましても、稲が育っていない/C光景 を目にすることが多かったのであります。また、ところどころ枯れているように も見えたわけであります。  日本では古くから稲作が行われていたようでありまして、一説によりますと、 縄文時代の終わりには既に始まっていたとも言われています。その後、次第に稲 を栽培する技術が発達してきました。そして、米をつくる人たちが集まって住む ことによって農村が形成されてきたのであります。そういう歴史的な経緯もあり まして、日本では米が社会を支える基礎になってきました。米は私たちと大変深 いかかわりがあるのであります。  さて、最近、私が興味を持ったお米があります。それは何かといいますと、洗 う必要のない米であります。お米屋さんなどで売っていますので、皆さんの中に はもう食べたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。私は御飯が大 好きでありますので、ちょっと気になりまして、このお米について調べてみまし た。  まず、とぎ洗いをする必要がなく、そのまま炊けますので、水と時間が節約で きます。そして、とぎ汁が出ませんから、家庭から出る排水が少なくなります。 こうしたことを考えますと、環境に優しいというふうに言えるのではないかと思 われます。  しかし、普通のお米に比べまして、米ぬかを多く取り除かなければならないわ けであります。つまり、商品になるまでに手間がかかっていますから、それだけ 値段が高くなってしまうという問題があります。あるいは、加工するときに汚れ た水を出すとかエネルギーを多く使うということも言われています。ですから、 必ずしも環境によいことばかりとは言い切れないようであります。また、加工す るときの工程などについてはよくわからない部分もありまして、便利なところが ある反面、いろいろ問題点もあるようであります。  いずれにしましても、米は日本人の主食であります。そして、米を中心にした 食事は、世界で最も栄養のバランスがとれているということで注目されています。 そういう日本型の食生活をこれからも大切にしていきたいものであります。