私が使用している中根式

 私が使用している中根式は、中根速記学校の体系と植田裕先生の体系を5対5の割合で折衷しております。

 中根速記学校の本科生時代に習った法則で書いていたのは昭和45年11月までです。

 中根速記学校本科生時代に、同期のM・Yが「高松商業高校速記部の符号はかなり異なっている」と言いました。M・Yは岡山県の笠岡商業高校速記部の出身です。

 私はM・Yから聞いたときには、高松商業の速記文字に余り興味を示しませんでしたが、昭和45年11月に香川県立高松商業高校速記部へ資料を請求しました。私は速記部員(当時2年生)のK・Tさんからノートを借りて11月21日から23日の3日間で書写しました。
 
 私が最初に書写した植田裕先生の速記法則は昭和44年4月から昭和45年3月に植田先生が香川県立高松商業高校速記部で指導された最後の法則体系です。
 
 私自身が中根速記学校の本科時代に習った法則体系だけでは満足しておりませんでした。
 
 植田先生の体系で「特定符号」は、運筆をなめらかに書く方法です。
 
 インツクキ法も逆記法と順記法を併用しております。
 
 基本文字の「ス」、拗短音の「シュ・ショ・キョ・チョ・リョ」も取り入れておりますが、従来の「ス、シュ・ショ・キョ・チョ・リョ」を捨てておりません。速記文字を書き分けるために残しております。「主人、婦人、巨人」は特定符号で書くと同形になるので書き分けております。45度、30度、15度の角度ですが、15度単位の速記文字は微妙な角度です。
 
 植田先生の速記法則体系を本格的に使用したのは昭和46年12月末です。
 
 中根速記学校の体系と植田先生の体系を折衷するときに、法則的に一貫性を持たせるために中根速記学校の法則を捨てております。従来の中根式よりも複雑な法則体系を使用していますが、私は速記文字の書きやすさを重視しております。
1.簡単な速記法則で画数が多い速記文字を書く。
2.複雑な速記法則を駆使して画数が少ない速記文字を書く。
だけの違いです。私自身は「法則運用能力」がある方だと思っております。
 
 助詞符号は、中根速記学校で習ったままで一部分しか変えておりません。
 
 上段の訓音換記法は、一部を残して摘記略法へ切りかえました。
 
 数詞の書き方は、中根式では書きにくいので中根速記学校本科時代から部分的に早稲田式で書いております。
 
 中根式で「即ち」は、書きにくいので早稲田式の「△」を使用しております。また「さらに」は、速記文字が崩れたときに「それに」と誤訳するので「○」を使用しておりますが、私は「特定略法」として法則化しております。
 
 昭和45年5月15日の中根速記学校研究科中退から昭和48年7月2日に研究科に再入学するまでの3年1カ月ありました。私は2年6カ月で速記法則の入れかえ作業を行いました。
 
 中根速記学校の研究科へ再入学したときは、使用している速記法則が入れかわっております。
 
 昭和51年1月12日に作成した「NAKANE Kurzschrift」でほぼ形が整いました。Kurzschrift(クルツシュリフト)は、ドイツ語で「速記」という意味です。
 
 私が今でも中根速記学校時代に習った速記法則を全部覚えているのは、中根式の資料を作成するためです。私自身は使い勝手が悪い速記文字を変えております。中根速記学校卒業生の中で、私ほど速記文字を変えている者はいないと思います。
 
 私自身が使用している速記法則を学習者に指導しても、法則運用能力がなければ使用できません。
 
 私が中根式を指導する場合には中根速記学校で習った速記法則を使用しております。速記法則を指導する場合には、学習者の法則運用能力も考慮しなければなりません。
 
 植田先生が東京で実務をされながら新しい速記法則を編み出されたが、私は全部使用しておりません。私自身が納得したものに限定しております。
 


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