速記文字画について


 「速記の楽しみ方」には、「速記文字」で「絵を描いて」楽しむ方法がある。
 中根式では「速記文字画」、早稲田式では「速記マンガ」と呼ばれている。
 この「速記文字画」の歴史は意外と古い。フランスのパリで1909年に発行をされたAlbert Navarre著「STENOGRAPHIE」の373ページ、483ページには見事な「速記文字画」が 掲載をされている。




 
 我が国では、中根式の大成者・中根正世先生が大正12年に「速記文字画」の第1作を
発表している。
 「速記文字画」は、見本と「絵心」があれば「速記学習者」でも簡単に作成ができる が、好きな文章を作成して、「速記文字」を並べればできる。また、同じ「速記文字 画」を描く場合でも、速記文字の配置が1ミリずれただけでも、でき上がりのイメージ が変わってしまう。よほど器用な人でないと、全く同じものができないところがおもし ろい。
 速記文字を、法則的な角度を多少変更して配置をするとイメージが変わってくる。
 
 「速記文字画」の種類には「基本文字」のみで作成をしたもの、「省略法」を使用し て作成をしたものがあり、「顔」「動物」等々様々なものがある。中には「芸術的」な すばらしいものが残っている。
 中根正世著「中根式速記文字画集」(A5判 31ページ 162作)が昭和23年1月15日 に「東京 中根速記学校」から発行をされているが、掲載をされていない「速記文字 画」も多数ある。
 また「中根式」では、一部の人たちが盛んに「速記文字画」を作成している。
 
 昭和44年3月から「中根式速記本部」(京都)で行われていた通信教育の「力だめ し」(添削問題)では、普通科のNo.2から「速記文字画」の反訳が必ず1問が入ってい た。
 参考までに、中根式速記本部の通信教育は「普通科/高等科/研究科」の3コースが あり、各コースごとに「力だめし」がNo.1〜No.8までがある。受講期間は各コースと も2ヶ月間である。
 
 私が昭和42年9月に中根式の通信教育「本科課程」を受講したのは「東京 中根速記 学校」の方であり、教科書は中根洋子著「中根式 速記の基本教程」が1冊のみである。
「中根式 速記の基本教程」は、昭和53年まで中根速記学校の教科書として使用をされ ていた。受講期間は6ヶ月間であり、学習課題が6回、修了試験(合格は60点以上であ る)が1回であった。
 
 早稲田式関係者、小谷式関係者も「速記文字画」を作成しているが、速記関係者でも 「速記文字画」に対して「否定的な考え方」を持っている人もいる。

速記画1     速記画2
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