速記と年齢

 速記学習において個人差があるので年齢的なものはほとんどありません。
 ただ、アマチュアの場合で社団法人日本速記協会技能検定試験レベルの実力で したら余り年齢を考える必要はないと思います。
 若い世代と中高年とは、同じ学習時間で練習した場合には、若い世代の方が上 達するのは早いと思いますが、個人差があるので一概には何とも言えません。
 速記学習時期には初学者が何歳であったかもありますし、国語力の問題と関係 してきます。
 例えば3級程度になるには、若い世代が1年で到達をするとしますと、40代、 50代では2年から3年はかかります。
 速記学校の夜間部における生徒の年齢層は18歳から26歳ぐらいです。この程度 の年齢差ですとほとんど差はありません。速度的に差が出るのは個人差だけです し、途中で落後するのも年齢には関係がありません。
 私の同期生には50代の人もおりましたが、年数をかければ3級に到達をします。 要は速記を諦めないことが大切です。
 私の同期になるかどうかわかりませんが、戦前に速記学校を卒業して、途中か ら再入学をされた方がおります。
30年近く速記と離れておりましたが、何年か後には1級に合格して見事にOLか ら速記者に転身した人もおります。
 20代で3級に合格している人は、10年、20年後に練習次第では2級、1級を受 験をしても大丈夫です。
 


速記学習年齢

 速記を学習する年齢は何歳からできるかは、指導条件によって異なります。
 通信教育、スクーリングなどの条件をつけると小学校の5年生以上ということ になりそうです。
 古い「早稲田速記新聞」を調査すると、早稲田式の通信教育では、昭和47年の 検定試験で東京都の13歳の男子が3級に合格して「協会奨励賞」を受賞しており ます。この方は小学校5年(昭和45年)の夏休みに通信教育を受講しております。
 広島県では小学校5年生の男児が5級に合格して「協会奨励賞」を受賞してお ります。この人はスクーリングに出席しております。
 プライバシー保護のため個人名は伏せておきます。
 速記界では小学校5年生で速記の学習開始は比較的早い方です。「早稲田速記 新聞」を調査したら大体中学1年〜3年生です。
 高校生になると速記学習者がふえております。
 
 戦前の旧制中学では全国各地に「速記部」がありましたので1年生で速記の学 習ができました。現在の中学1年生ですから、5年間は続けてクラブ活動で速記 の練習ができました。
 戦後は昭和22年3月に「教育基本法」が制定されて6・3・3・4制になりま した。新制中学になってからも、一部の中学には「速記部」があり、顧問の先生 が指導をされておりました。
 この時期には旧制中学から新制高校に制度が切りかわった時期に6年間速記部 に在学できた世代もおります。
 
 中根式では昭和6年12月28日に「第1回 全国中等学校中根式速記競技大会」 が行われ18名が参加をしたと伝えられております。当時は個人戦で「天王寺商 業」が優勝しております。団体戦は昭和23年から始まりました。
 中根式では、昭和10年に小学3年生(9歳)と小学5年生(11歳)が参加をし ております。競技会終了の翌日に当時の松田文部大臣の前で速記を書いてみせた という文献もあります。プライバシー保護の観点から名前は伏せておきます。
 ちなみに優勝されたのは中学5年生(18歳)です。いずれも数え年の年齢です が、この3人は兄弟です。中根式関係者は名前を書かなくてもわかると思います。
 少なくとも小学校2年生ぐらいで速記を学習したことが推測できます。
 
 戦前の競技速度は、手元に資料がありませんが、昭和26年8月の全国大会では 決勝戦が分速400字×5分間競技を行われました。競技問題文は官報を使用して おります。ちなみに優勝者のミスは46字です。昭和27年の全国大会から日数と採 点に時間がかかる関係で1分競技になっております。
 昭和24年には30秒×250字、つまり分速500字で優勝決定戦が行われております。
 高校速記部で練習をして2年生の5月に行われた速記技能検定試験で1級に合 格をした生徒もおりますが、こういう人は優秀な部類になります。
 速記方式云々よりも個人レベルの問題です。
 
 結論としては、早稲田式及び中根式は条件次第では小学生でも速記の学習がで きるということです。国語力の方は速度練習を続けながらつけることができます。