昭和15年、乙部泉三郎(おとべせんさぶろう)は、泉式を発表し、長野において泉式速記講習会を開くとともに翌16年「ひらがな速記術」及び
「ひらがな速記術独習」をあらわした。乙部はグレッグ式がピットマン式にドイツ系斜線派(※草書派ともいう)を取り入れて楕円派(※半草書派ともいう)を
つくったのにヒントを得、同じような立場を平仮名の書記運動に求めた。
「私が平仮名の分解線をもってその基本文字を採用したのは、平仮名の運筆が極めて流暢であり、我々の手になれているというところに着眼したためである。 (「ひらがな速記術独習」)」 そこで熊崎系折衷派のア列の倍化によるオ列、イ列の倍化によるエ列に則り、各文字に当てる線は熊崎式及びグレッグ式を基礎に、 回転運動を重んじた独自の画線体系を用いた。なおグレッグ式に準じて濁音文字と清音文字とをそれぞれ異なる線にしたが、諸表示法、 同行縮字法その他は大体熊崎式の系統を引くものである。従って「ひらがな速記」とは称するが、平仮名そのものを用いるのではなく、 平仮名の書記運動を利用したものであり、その意味で岩村系仮名速記とは別の系統に属する方式である。〔武部良明著「国語速記史大要」(下)65〜66ページ〕
ここにご紹介する「泉式 全音速記」は、昭和44年10月28日に発行されたテキストです。泉式には、まだ改良の余地が残されております。
乙部泉三郎著「ひらがな速記術」B6 14P 西沢書店 昭和16年4月
乙部泉三郎著 「泉式全音速記」 izumi-2.pdf … 2,223KB
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