速記文字文例 「坊ちゃん」 夏目 漱石 より
夏目漱石の「坊ちゃん」の文例を「中根速記学校の体系」と「管理人の体系」で作成い
たしました。
速記文例は
「親譲りの無鉄砲で子供のときから損ばかりしている。小学校の時分学校の二階から飛び
降りて一週間腰を抜かしたことがある。なぜそんなむやみなことをしたかと聞く人がある
かもしれない。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら同級生の一人が
冗談に幾ら威張っても、そこから飛び降りることはできまい。弱虫やーい。とはやしたか
らである。小使いに負ぶさって帰ってきたとき、親父が大きな眼をして二階から飛び降り
て腰を抜かすやつがあるかといったから、 この次は抜かさずに飛んでみせますと答えた。
親類の者から西洋製のナイフをもらってきれいな刃を日にかざして友達に見せていたら、
一人が光ることは光るが切れそうもないと言った。切れぬことがあるか、何でも切ってみ
せると受け合った。そんなら君の指を切ってみろと注文したから、何だ指ぐらいこのとお
りだと右の手の親指の」
までです。