反訳文

・画像１枚 （２枚セット　各Ａ４サイズ）
・速記文字 （モリタ式速記法）
・筆記具＝ボールペン
・伝統的な田鎖式系統の遺伝子を色濃く残す味わい深い符号である

１枚目（＝画像の左半分）

L1:

あら、あんな所におじさんの背中、道端に座って。　うん？

L2:

あ、絵を描いてるんですね。　画家の方でしょうかね。
ええ、ううん、あ、すいません。　覗いちゃいました。

L3:

すいません。　見てのとおり描いてるよ。
ちょっと見せていただいてもいいですか？　もちろんさ。

L4:

ああ、緻密。　あ、この路地を描いてらっしゃる？
１時間ばかり描いたものさ。

L5:

ああ、すてきな所ですよね。　大変すばらしいよ。
両側が全く違って不思議なんだ。

L6:

こちら側は向こうと違って古い。　なぜかというと、昔こちら側に

L7:

大きな屋敷があったんだ。　大地主は果樹園を持っていて、
それを見られたくなかった彼は、この古い家の２階に

L8:

窓を作らせなかったのさ。　だから屋根も不思議な形に。
反対側には窓があるけどね。

L9:

煙突の形もいいよね。　いえ、お詳しいんですね。
地元の方でいらっしゃるんですか？

２枚目（＝画像の右半分）

L1:

いえ、ケンブリッジ大学で美術史を学びました。
でも学問には興味がなかったから

L2:

美術学校などで教えたんです。　自分でも描きましたけどね。

L3:

じゃあ、ほかの街から、で、大学を出てずっとここに？
一度ケンブリッジに住むと

L4:

離れられない魅力がありますよ。　友だち、街の緑。　そして何より

L5:

歴史のある通りが好きです。　ああ、わかるような気がします。
歴史と緑と人々。

L6:

こうやって通りすがりの人が、あなたみたいに声を掛けてくれる。
それを楽しんでいますよ。

L7:

それにきょうは美しい日ですから。　楽しかったですよ。　バイバイ。
ああ、いやあ、もうお会いできてよかったです。　いやあ、もう

L8:

ほんとにこちらこそ、ほんとにありがとうございました。
どうぞお元気で。　バイバイ。