速記講座【21】 クツ音を消せ!

 小さなクツ音も、繰り返し繰り返し聞こえてくるとやかましく感じ出すもので す。そこで、それが煩わしくないようにするためにはどうすればいいでしょう。

 漢字音シリーズの最終コースです。

 前回、漢字音の第2音は「ン・イ・ウ・キ・ク・チ・ツ・ッ」の8音のうちの 1つだというお話をしましたが、そのうち「ン・ッ」は五十音を覚えるときに一 緒にやりましたね。「イ・ウ」は「長イ音」ということで済みました。

残りは「キ・ク・ツ・チ」ですが、これは「キ・ク」「ツ・チ」の2組に分かれ ます。そのうち「チ」は頻度が少ないことと、もともと基本文字が書きやすいの で、これ以上簡単にする必要はありません。

また、「キ」は「エ・ケ・セ・テ……」などの「エ列」の音の次によく出てきま す。ところが、「ク」はその「エ列」の次には全く出てこないんです。皆さんも 一度「エ列」に「ク」の続く音読み漢字を探してごらんなさい。出てこないでし ょう。

 そこで、「長イ音」で「ア列」の長音は「ア列+イ」としたように、「エ列+ ク」は「エ列+キ」に置き換えるんです。そうすると、非常に効果的に速記文字 が簡略化されるんです。

 さあ、「ン」を小円であらわしましたね。それと同じように、「ク」は大円、 「ツ」は長円に置き換えます。この2つをストローク(線符号)にサイン(付属 符号)としてつけることによって、速記文字の接続が滑らかに書きやすくなり、 また読みやすくなるわけです。


 図で示されているように、「ク」の大円も「ン」の小円も、次の線の形や方向 で、「○」の形が「△」のような形になってもいいんですよ。なるべく停止せず 滑らかに続くように、円を書いている途中から次の線を書く動きを取り入れると いうわけですね。