執筆者: deme7
(EPSEMS速記法考案者)
温故知新

明治15年 (1882年) に田鎖綱紀氏により始められた田鎖式を初め、若林式、佃 式、荒浪式、ある時期までの衆議院速記者養成所や参議院(貴族院)速記者養成 所で教授されていた速記方式等は複画派と呼ばれるものでもあります。

日本の速記方式の発達の順序、経緯等から、複画派の速記方式は折衷派 ・単画派の速記方式よりも前時代的なものとしてとらえられて いる感は否めませんが、実際に明治、大正、昭和といった録音機も使えなかった ような時代の速記を実現させてきたものの多くは、これら複画派の速記方式なの であります。

ある意味、ある条件下においての複画派速記方式の確実性の検証、考察といった 過程自体が看過されやすい傾向にある今日でもあるように思われます。

速記方式の優劣の判断は非常に困難であり、 速記文字の画数、線量などといった側面だけで速度性や使い勝手を判断すること ができるほど単純なものではないのが、速記法というものの奥深いところでもあ ります。

今回は、上記で述べました複画派速記方式の中から 「荒浪式」 の五十音その他 の速記文字に基づいて多少のアレンジを私が加えたものを、参考程度に掲載しま した。 (特別な省略法、省画法等を用いずに、基本的な五十音その他の速記文 字のみを用いて書いたものです。)