![]() それでは、戦争に関連するお話をしたいと思います。 皆さんは「督戦隊」という言葉を御存じでしょうか。 どのような字を書くかといいますと、「監督」の「督」に、「戦争」の「戦」、そして兵隊の「隊」です。 どういうものか、ということでありますが、戦線の後方に位置して、自軍の兵士たちが、軍の命令を拒否したり、敵前逃亡しないように見張る役目を担います。 もしも、戦いの前線において、命令に背いたり、勝手に撤退するような兵士が出た場合、この督戦隊ではその兵士を逮捕したり、ケースによってはその場で射殺することもできるという、極めて強い権限を持っていました。 世界の歴史においては、こうしたシステムが現存した時代がありました。第二次世界大戦においては、この督戦隊を機能させた国もあったということであります。 そしてまた、今般のウクライナ戦争においても、ロシア軍が督戦隊を配備しているという現実が映像で流されていて、私はその光景に愕然といたしました。 戦闘継続の方策として、兵士たちの低い士気のボルテージを上げるために、こうした手段が講じられるというのが、必要悪といえども戦争の残忍さなのかもしれません。 こういうことを見聞きしていると、 「敵は正面だけにいるものではない」という言葉が、妙に現実味を帯びてきます。 さて、話はちょっと脇道にそれますが、軍隊という集団においては、人間同士の確執が、その身分や階級を超えたところで存在したであろうことは想像に難くありません。 上官に対する日頃の鬱憤が恨み骨髄に達したとき、思わぬ弾みで飽和点に達する、こういうこともあったのではないでしょうか。 もしも、それが戦場においてであるならば、ほんのわずかな前方の距離にあるその上官の背中や後頭部に向けて引き金を引く、こういったことも実際に起こっていたのではなかろうか、そんなことを空想してしまいます。 これはある意味で、現実に起こっている戦いよりも怖くて根深いものかもしれません。(了)
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