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文:速記道楽管理人代理 どうにもこうにも、身の置き場がない、と言おうか、呆然と立ちすくむしかなかった。 そもそも倫理に反している事柄なのだから、このまま自分の内なる出来事として握り潰してしまえば、誰ひとり傷つけることなく、すべては完結する。 表面上は、何一つ起きていない。無論、相手に気づかれてもいないし、気づかせようなんて気はさらさらない。 考えまいと思えば思うほど、考えてしまう。 想いを募らせる、とはこういうことを言うんだろうな、なんて思ったりする。 きょうもまた、泣いてしまった。 あの日は人事異動の発表があり、その人の地方転勤が決まった。 時間の経過は非情だ。瞬く間に一か月は過ぎ去り、いつもそこにいた顔は消え、机と椅子だけがとり残された。 春はまだ浅い。 いつもの帰り道。だれもいない公園、ジャングルジムの上に浮かんだ真ん丸のお月さま。 ぽっかりと心に穴が空いたから、代わりに月でも浮かべておこうかと考えてみた。
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