中根式の流れ 平成元年8月 於:速記科学研究会


 まず、「中根式の流れ」という表を見ていただきますと、中根正親先生、中根正世先生、 森卓明先生、中根24年式、26年式、石村式、国字式、寿光式、長商式、山根式、岩村式、 スピードメモ法があります。これは平仮名と片仮名を応用したもので、正世先生が昭和33 年に発表されたものであります。昔は即席速記法とか簡易速記法と呼んでおりました。中 根速記学校、土田式、稲垣正興先生、武部良明先生、植田裕先生とありますが、これで大 体中根式の符号の流れがおわかりになると思います。今回は正親先生、正世先生、植田先 生、中根速記学校、稲垣先生の符号を中心にお話したいと思います。中根速記学校と申し ますのは、正世先生の符号体系とは違います。中根速記学校の符号体系は、戦前に曲尾啓 之助先生、池田正一先生によって研究された符号であります。

 レジュメの1番でありますが、正側、負側という概念が中根式にありますが、Kさんか ら説明がありましたので省略いたします。

 2番目の線の長さについてでありますが、これは正親先生が創案されたときに第一種線、 第二種線、第三種線、第四種線という言葉を使っております。池田正一先生が昭和32年8 月号の速記時代に「我が式の誇る省略法」という原稿を書いておられますが、その中で短 線を第一種線、長線を第二種線、最大線を第三種線、最小線を第四種線と言っております。

 3番目として、先ほどの表のとおり、正親先生、正世先生、中根速記学校、森先生、稲 垣先生、植田先生、その他となっております。
 先ほどのコピーの中に「新案速記術」というものがあります。これは大正3年5月10日 の大阪毎日新聞の記事を拡大コピーしたものであります。
 その次に正世先生の写真が入っているコピーについてお話をいたします。このコピーに は正世先生が速記の練習を始めたことについて書かれております。また、このコピーの2 ページの3行目に「大正4年9月30日の消印で郷里の長崎にいる妹の武子に喜んで書いた 葉書が大切にしまってあります。」と書かれております。それを見ますと、正世先生が速 記を始められた日は、大正4年9月30日の消印の葉書から推測しますと、大正4年9月27 日か28日になります。葉書の内容からすれば「長らくごぶさたをいたしまして済みません でした。私は一昨日の晩から速記を始めまして昨夜は10分間に400字も書けましたよ」と あります。一昨日ということは、30日の消印から逆算いたしまて、29日に葉書を書いたと いたしますと、28日が昨日で27日が一昨日になります。ですから27日か28日に速記の練習 をされたのではないかと推測しております。
 それから、中根式の方ですと文例を見ていただくとわかりますが、「長らくごぶさたカ
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