生涯学習における速記教育について
はじめに
一般的に「速記」と言えば、特殊技術という技術的な面しか見られておりませ
ん。これは狭義の意味における速記であり、我が国の速記界では「速記教育=プ
ロ速記者の養成」という思想が一部の速記者には残っており、文部科学省認定速
記技能検定試験の1級(分速320字×10分)及び2級(分速280字×10分)に合格
をしなければ速記は役に立たないという思想が根底にありました。これが一般の
人達に対して速記が普及をしなかった大きな原因ではなかったかと思います。
速記学習者が1級に合格をしても、全員がプロ速記者になるわけではありませ
ん。プロ速記者にならなくても各業界において速記能力者が速記を利用できる分
野は幾らでもあると思います。
民間の速記教育機関(早稲田式、中根式等)では、プロ速記者を養成するとと
もにアマチュア速記にも力を入れてきましたが、速記界ではいまだにその成果及
び実態の把握ができておりません。
広義の意味における速記は「アマチュアの速記」も含まれておりますが、文部
科学省認定速記技能検定試験の6級(分速80字×5分)及び5級(分速120字×5
分)に合格をした人達に対する速記の利用方法が教育をされておりませんでした。
アマチュア速記について
今日のような高度情報化社会における速記はプロ速記者だけの専有物であって
はなりませんし、速記は我が国における知的な文化財産でもあります。
速記は言語をとらえるための「手段や道具」という思想から一日も早く脱却を
しなければなりませんし、速記は「学問、教養、趣味」であるという思想を根底
に持っておく必要があります。
アマチュアの世界では、速記をしたものを国字に反訳をせずに速記文字できれ
いに書き直しておくだけで間に合います。
私自身が過去において、速記をとった原文を後から速記文字できれいに書き直
していた経験もありますし、後に国字(漢字仮名まじり文)での反訳が必要にな
ったときに反訳をすればよいという考え方を持っております。速記文字をきれい
に書いておけば30年後でも反訳ができます。練習次第では速記文字を国字と同じ
速度で読むことができるようになります。