「速記」のスピード

 速記文字が「早く書ける文字」であることはおわかりになったと思います。そ れでは、一体どのぐらい速く書けるのでしょうか。ふだん使用している文字の何 倍ぐらいのスピードで書けるものでしょうか。

 私たちは、ふだん、平仮名や片仮名、漢字といったものを使用して言葉をあら わしております。これは漢字仮名まじり文とか普通文と言われますが、そういっ た文字で手紙を書いたりする場合、もちろん、人によってそのスピードに差はあ りますが、一般に「1分間に30文字から40文字」のスピードで書いていると言わ れております。

 ところで、私たちが話をしているときのスピードはどのくらいかというと、例 えばテレビやラジオでアナウンサーがニュースを読み上げるときのスピードとい うのは、これも人によって差はありますが、1分間しゃべったものを原稿用紙に 書き直してみると、大体300字前後になります。つまり、話すときのスピードと いうのは書くときのスピードの約10倍であるということです。逆にいえば、話し ている言葉をそのまま普通文字で書き取っていこうとした場合、1割しか書き取 れないということになります。

 速記文字の場合、例えば速記の検定試験1級のスピードは1分間に320字の速 さとなっております。ニュースのスピードは300字ということですから、検定試 験の1級に合格すれば、テレビやラジオのニュースも楽に記録していけるという ことになります。すなわち、速記文字は普通文字の10倍以上のスピードを持って いるということです。速記文字は熟練すればするほど速く書けるようになり、1 分間400字以上の超スピードで書くことも不能ではありません。
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