■2004/12/27 (Mon) 拾い読み ○○市議会会議録 |
昭和44年12月の「○○市議会会議録/第4回定例会」の会議録には、下記のことが掲載されております。
○○クラブの××議員の代表質問の一節です。
(前略)
次に、駅前再開発事業計画について、御承知のようにもみにもみ抜いて決まった都市計画審議会、そして、先月15日、この審議会で駅前再開発事業計画をたった1日で強行可決をいたしました。ところが、審議会での試案説明は、まったく事実をゆがめた偽りがあったことが判明いたしました。まさに、アッとおどろく為五郎、1つには、○の審議会が12月10日に開かれることになっており、これにかけるためには、15日に即決しなければ時間的に間に合わないということでありましたが、あとで調べてみると○は10日に開く予定などなく、いまのところ16日開催予定だったことがわかり、そのうえ当日は○○関係の議案はまったくないという状態でありました。
(後略)
(用字例は当時のままです)
ちなみに、本会議で速記を担当されていた方は中根式です。「アッとおどろく為五郎」は、どのような速記文字で書かれたのでしょうか。
当時の流行語とは言え、まさか本会議の代表質問で議員が発言するとは思わなかったでしょうね。
速記者は笑いたくても笑えないのが速記者の宿命みたいなものです。速記者のシャープが一瞬とまったかどうかわかりませんが、速記文字を準備していたとも思えません。
標準的な中根式では、基本文字のアに助詞のトをつけて「アッと」と書きます。「驚く」は上段にキョウです。タメは下段にタです。「五郎」は、ゴに頭部加点をしてゴロウ(○ロウの書き方)です。「為五郎」の場合はタの尾部にコの枝出しで「タコす」(スの3音目の書き方)です。
私が現在使用している速記法則で書く場合には、アに助詞のトをつけて、アと、オ、タの3文字を交差法で書きます。
ほとんど使用しない言葉に対しては略字を設けませんし、流行語は自然に廃れますので、略字として固定しません。
毎日新聞社から平成3年10月10日に「昭和流行語グラフィティ」という本が発行されております。
昭和44年の項目に「アッと驚くタメゴロー」があり、説明は、下記のように書かれております。
日本テレビの人気番組『巨泉・前武ゲバゲバ90分』の中で、ヒッピー姿のハナ肇がいい、流行したナンセンス・ギャグ。
という説明があります。
■2004/12/26 (Sun) 中根式関係文献について |
中根式が発表されてから90年間における中根式関係の文献目録を掲載いたしましたが、大正5年から昭和20年の期間を見ますと、31年間の割には少ないと思います。
時代的には活版印刷及びガリ版印刷の時代です。
昭和17年11月25に発行された日武部良明著「日本速記方式発達史」の319〜336ページに「速記関係書目」が掲載されておりますが、調査をされたのは衆議院速記課の三角治助さんです。
「速記関係書目」の趣旨を紹介します。
速記関係書目
1.この書目は、衆議院速記課、三角治助氏の調査編集されたものである。
2.この書目は、明治以来、日本において刊行された速記関係書の目録を年代順に配列したものである。
3.記載の形式は、次のごとき順序である。
著者 書名 形態頁数 発行所 発行年月
ただし、雑誌の方は、次のごとくなっている。
雑誌名 発行所 形態 主宰者 発行期間(発行頁数)
4.この書目の調査に当たっては、全国図書館及び速記関係書の著者、蔵書家の御協力を願った、ここにその御厚意をを謝するとともに、今後とも倍旧の御援助を切望する。(本書目に関係の御通信及び新刊書の御寄贈は衆議院速記課調査部宛のこと)
と書かれておりましたが、現在の衆議院記録部では速記関係の文献調査は行っておりません。
現在は、社団法人日本速記協会調査部ライブラリアンの担当者がボランティアで行っております。
「日本速記100周年」の前に、昭和56年ごろから、A.Aさんが1人で「速記関係書目」をもとにして、国立国会図書館を始め各地の図書館等々を調査されております。
三角さんの「速記関係書目」における調査漏れなどがかなり出てきました。
また平成14年の「日本速記120周年」の調査でも、調査漏れが出てきましたので、「『日本速記百年記念誌』所載分補遺」として追加しております。
当サイトでは、昭和58年の「速記関係文献目録」及び平成14年の「速記関係文献目録」から中根式関係の文献を抽出して掲載しております。
私が現物を確認しているもので数冊ほど調査漏れがあります。
■2004/12/19 (Sun) 速記文字構成素材集 |
「速記文字構成素材集」は、複画派、折衷派、単画派の基本文字を「方向別」に分類したものです。
「↓」の方向でも(|)の直線、曲線(2種類)があります。
また「→」の方向でも直線、曲線がありますし、「 / 」の速記文字は右上から左下、左下から右上に書くかで2方向になります。「 \ 」の速記文字は、左上から右下へ書きます。
速記文字の角度も「 / 」左下から右上へ書く場合には、30度、45度で書きますが、速記方式によっては15度、22.5という場合もあります。
また、右上から左下へ書く場合でも75度、60度、45度で使用する場合もあります。
「 \ 」の角度も60度、45度、30度で使用する場合もあります。
各方向の線を何度の角度で使用するかは、速記方式によって異なりますし、個人の線に対する感覚でも異なってきます。
基本文字を構成する場合には、母音と子音における速記文字を対等に扱うか、別に扱うかも含まれております。
中根式では速記法則との関係から母音と子音を対等に扱っております。
基本文字を単画派で組む場合には、
5(方向)×3(直線、曲線)×3(長さ)=45
で考えます。
清音を構成する場合、例えば同じ方向で「 \ 」60度と30度の速記文字を区別する方法は避けた方がよいでしょう。直線で60度と30度の速記文字を連綴する場合は書きにくいので、基本的な組み方は30度単位で組んだ方が無難です。
また左下から右上へ書く「 / 」線の場合、直線の30度と45度は速記文字を連綴する場合には書きにくいものです。
当サイトでは、管理人がリンク先の
「速記の総合サイト STENO 2000」(管理人:天然堂さん)
http://www2s.biglobe.ne.jp/~L-Fairly/steno2000.html
「速記学習者、このページに集まれ!」(管理人:ユーさん)
http://www9.ocn.ne.jp/~ssokki02/
「Steno World 速記の世界」(管理人:タッチさん)
http://www.geocities.jp/steno/top.htm
「電気の缶詰」(管理人:Myamoさん)
http://ha2.seikyou.ne.jp/home/myamo/
「ぼこあん」(管理人:とんさん)
http://www.asahi-net.or.jp/~cd3a-kjym/ue.html
「新聞投稿・速記道・生涯不退転!」(管理人:ミスター投稿さん)
http://www.doblog.com/weblog/myblog/5428
の6サイトを毎日巡回しております。
当サイトでは、原稿の作成段階において掲載する内容が重複しないように留意しております。
リンク先の速記サイトと同じ内容の原稿を掲載しても、閲覧される方々にとり無駄な時間を費やさないようにしております。
当サイトでは○○の内容については、○○さんの速記サイトを閲覧された方が参考になるという意味で、管理人の独断と偏見で速記サイトをリンクしております。
■2004/12/17 (Fri) 速記サイトの運営方法 |
速記サイトの管理人として、「速記道楽」を運営して感ずることは、掲載する原稿内容を速記一本で通すかということも含まれております。
当サイトの掲示板では「速記以外の内容は一切書き込み禁止」にしております。これは当サイト開設以来の「利用規定」でも掲載しております。
某速記サイトの管理人さんが、
「速記速記速記だけでは、読む方もうんざりするのではありませんか」「速記から外れたことを書くべからずという窮屈な考え方では肩がこるという意味で速記速記速記ではうんざりする」と某速記サイトの掲示板へ書き込みをされております。
当サイトの運営方針は「速記を大いに楽しむ」ことを趣旨に運営しておりますので、当サイトを訪れていただく閲覧者の方々は、速記の内容が掲載されていることを少なくとも期待して訪れていただいているはずです。
各速記サイトには、運営方針がありますし、当サイトのように速記以外の内容を書き込み禁止にしているところはないと思います。これは管理人の「速記以外の不純物を入れない完璧な速記一本の内容で通す」という運営方針です。
私は、速記が大好きな方だけが「速記道楽」を閲覧していただければよい、という趣旨で運営しておりますし、管理人も相棒・編集長さんも速記が大好きなタイプの人間です。
当サイトでは「速記の腕前を一切通用させない」、通用するのは「速記に対する熱い情熱のみ」です。職業速記者でも、速記学習者でも関係はないのです。「速記に対して熱い情熱を持ち続けているか」どうかが、当サイトでは最優先します。
「速記道楽」を閲覧される方は、この「趣旨」を十分に理解されて「速記道楽」において「速記を大いに楽しんでいただきたい」と考えております。
■2004/12/08 (Wed) 国会図書館、ウェブサイトも06年から保存へ |
NIKKEI NETの平成16年12月7日付の「政治ニュース」によると、下記の記事が掲載されておりました。
「国会図書館、ウェブサイトも06年から保存へ」
国内で出版されるすべての書籍・録音物を収集・保存している国立国会図書館が2006年から対象をホームページ(HP)などのウェブサイトにも広げる。ネット時代を迎え、情報伝達手段としてのHPの役割が大きくなっているにもかかわらず、随時更新などによりデータが消滅していることを懸念。電子データの形で保存することにした。2008年をメドに一般利用者の閲覧も認める方針だ。
収集には、ネット上の住所に当たるドメイン名を手がかりに、ネット内を自動検索してデータベースに取り組むソフトを用いる。当面は国内発を示すドメイン名が「jp」で終わるサイトを読み取り、状況を見ながら、範囲を拡大するかどうか検討する。日々変わるサイト内容を逐一追い続けることは困難なため、収集期間を設定。毎年1月から3ヵ月程度かけて、その時点の内容を読み取るなどの措置を検討している。(16:35)
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20041207AT1E0400807122004.html
国会図書館にホームページを保存されると、永遠に残りますので、内容を吟味して掲載する重圧を感じます。
今のうちに、入力ミス等々を直しておく作業が必要です。
■2004/11/18 (Thu) 正側と負側の概念 |
中根式では、正側、負側を当たり前のように使用しておりますが、早稲田式では正側、負側の概念がありません。
「早稲田速記研究 研究編」昭和37年8月1日初版発行には「簡字の構成」の中に下記のものが含まれております。
1.ラ行省略法
2.和語省略法
3.漢語省略法
4.加点省略法
5.依意省略法
6.特殊簡字とその他の省略文字
加点省略法の説明には、
これはある一定の位置に、一定の制限を設けて加点することによって特定の音を省略することです。例えばカの加点とか、カクの加点がその例です。カの加点は仮に定められたもので、場合によってはカクとして読むこともあるので、あくまでも1つの仮定にすぎません。繰り返しますがカの加点は前の字の中央下側に加点するので、これを前の字の上側やあるいは他のところに打ったのではカになりません。つまり一定の位置が決められているのです。そしてカクの加点は前の字がカ行、ナ行、マ行のように水平に延びる線に対して使うというふうに制限されています。
同じ加点でも「テキ、テン」などは2音文字として広く使いますが、これから説明していく加点省略法は、相当の制限をつけて使用するということを頭に入れてください。……
“加点省略法が考えられた趣旨”
言葉というものは、決まったものではなく、文化や時代の流れの中で常に新陳代謝をしています。……。(中略)
そこでこのように常に流れ動いている言葉を、時代が変わっても、また社会情勢が変わって新語、新熟字が使われても、少なくとも日本語が根本的に変わらない限り、常に簡単に書きあらわせるように融通性のある省略法が必要になります。そのために考えられたものが、この「加点省略法」とか後述の「交差法」です。
早稲田式の加点法の位置は、中根式における正側、負側の概念とは別の位置になります。
中根正世著「通俗 中根式速記法」昭和2年11月15日初版発行の「基本文字」の説明の中で、
左または上というかわりに正側
右または下というかわりに負側
という説明があります。
中根式では、法則上、正側、負側の概念を重要視いたします。「長拗音」、「インツクキ法」などで頭部のサイン符号のつけ方も関係してきますし、「加点助動詞法」では、加点の位置をしっかり覚えていないと誤訳の原因になります。現在は「加点インツクキ法」を使用しなくなりましたが、中根式創案当初は「加点インツクキ法」がありました。
中根式以外で正側、負側の概念があるのは国字常弘の「国字式」ぐらいです。
10月28日は、速記記念日です。
明治15年に速記が発表されてから、満122年を迎えました。
7月に参議院速記者養成所の廃止、10月に衆議院速記者養成所の廃止の記事が新聞に掲載されました。
速記界では暗いニュースばかりですが、手書き速記が消滅したわけではありません。平成17年度から国会で速記者の養成をしないだけの話です。
民間では、早稲田式、中根式等が教育されております。