昭和26年8月5日に武部良明さんが「国語速記史大要(上)」を衆議院速記者養成所の教科書の一部としてまとめました。昭和27年2月5日に「国語速記大要(下)」をまとめて日本速記協会から発行されました。
昭和47年の日本速記発表90年では、向井征二さんが「速記の歴史<西洋編>」を機関誌:日本の速記に連載されました。昭和48年3月1日に社団法人日本速記協会から1冊にまとめられたものが発行されました。
社団法人日本速記協会調査部の中に平成6年6月22日から、速記年表を担当する「ヒストリアン」及び、文献目録を担当する「ライブラリアン」が設けられて今日に至っております。プライバシー保護の観点から、担当者の名前は公表しません。
■2004/05/16 (Sun) 拾い読み 乙種基本文字 |
京都速記士会編「速記 研究と回顧」昭和27年9月20日発行の99ページには牧泰之輔(まき たいのすけ)さんが「現状でよいか」の中に「乙種基本文字」について書いております。
これは各式ともアイウエオ即ち基本文字は、2種持つべしという持論であり、それは複画式は速度が出ない、単画式は誤訳が多い(京都には小原さんという複画式ですばらしい速度を出す人、森さんという単画式で誤訳のない人、この両派の見本みたいな人がおられるが、ここではかような達人の話をするのではない)よって私は折衷式を採っているが、分かり切った語は単画式でぶっ飛ばしてもよい。よってそれを専用の簡単な単複の乙種基本文字をつくったのです。例えば「財政収支の締めくくり」と書く場合「財政収支」は甲種文字で書く方が安全であるが、「締めくくり」は乙種で書く。また「広島」「姫路」等も関西人なら甲種で書く必要はない。また逆に単画式の人は少し安全性のある乙種文字をつくつて「財政収支」の方はこれを用いるがよい。というのは、小生依頼している復演速記者の中、単画式の人は幾ら緩速度に読んでも誤訳があるからである。
※小原正太郎(貴族院速記者養成所第16期 安田勝蔵門下)
※森 卓明(中根正親門下)
牧 泰之輔著「新牧式 和文速記術手ほどき」昭和36年6月1日 6版(牧式速記者協会)発行
第一章 基本文字(甲種)
本式基本文字は甲、乙、丙と三種ある。これも本式の特長である。(36ページ)
第八章 基本文字(乙、丙種)
乙種、丙種アイウエオは主に動詞、形容詞に使うが、その他分かり切った語に使ってよい。(110ページ)
即ち乙種は18字、丙種は4字である。
※乙種基本文字
キ、ケ、シ、セ、チ、テ、ナ、ヌ、ネ、ヒ、ヘ、ミ、ム、メ、ユ、リ、ル、レ。
※丙種基本文字
ネ、ヘ、メ、レ。
牧式の甲種基本文字は「速記資料館」の「講習会速記資料」を参照してください。
「乙種基本文字」及び「丙種基本文字」については、中根式及び早稲田式の基本文字で説明をします。
牧式の基本文字は、早稲田式の「ア行」と「ウ列」を除くと同形になります。
「乙種基本文字」は下記のとおりです。
「キ」は「カ」を15°右下へ書く。中根式の「ト」を15°で書けば同形。
「ケ」も「コ」を15°右下へ書く。中根式の「ト」の最大線を15°で書けば同形。
「シ」は「サ」の逆方向、早稲田式の変規「サ」と同形。
「セ」は「ソ」の逆方向、早稲田式の変規「ソ」と同形。
「チ」は「タ」の逆方向、早稲田式の変規「タ」と同形。
「テ」は「ト」の逆方向、早稲田式の正規「ト」と同形。
「ニ」は「ナ」に小カギ逆記。中根式の「ノウ」と同形。
「ヌ」は早稲田式の「ナイ」と同形。
「ネ」は「ノ」に小カギ逆記。中根式の「ノウ」の最大線と同形。
「ヒ」は「ハ」に小カギ逆記。中根式の「ショウ」と同形。
「ヘ」は「ホ」に小カギ逆記。中根式の「ショウ」の最大線と同形。
「ミ」は「マ」に小カギ逆記。中根式の「モウ」と同形。
「ム」は早稲田式の「マイ」と同形。
「メ」は「モ」に小カギ逆記。中根式の「モウ」の最大線と同形。
「ユ」は早稲田式の「ナイ」を左側に45°傾けた形。
「リ」は「ラ」に小カギ逆記。中根式の「ソウ」と同形。
「ル」は早稲田式の「マイ」を右側45°に傾けた形。
「レ」は「ロ」に小カギ逆記。中根式の「ソウ」の最大線と同形。
「丙種基本文字」
「ネ」「ヘ」「メ」「レ」は甲種基本文字の「ノ・ホ・メ・ロ」を2倍の長さに書きます。中根式では特大線(最大線の2倍の長さ)に相当します。
中根式と牧式では速記法則の構成に対する考え方が違いますのでコメントはつけません。
■2004/05/10 (Mon) 中根式速記発表90周年について |
大正3年5月10日の大阪毎日新聞に「新案出の速記術 大学生の発明」という記事が掲載されてから満90年になりました。
当サイトでは「速記随想集」の「中根速記学校における体系」に新聞記事を掲載しておりますので、既にご承知のことと思います。
中根正親先生が創案された「中根式速記法」は幾多の研究者によって研究・改良をされて現在に伝えられております。
中根式速記法は90年の歴史を有している速記方式ですが、昭和初期に基本文字の角度が変更された程度です。
令弟・正世先生は、正親先生が発表された速記法則を大正末期より整理・改良して旧制の全国中等学校を中心に普及しました。
中根正世著「通俗 中根式速記法」が昭和2年11月15日に発行されました。
中根式では「通俗 中根式速記法」の法則体系が中根式の標準体系として普及しました。
中根式における速記法則研究の大きな流れとして、正親先生の法則から正世先生の法則体系と、森 卓明先生の法則体系へと発展しました。
現在使用されている中根式は、正世先生の法則体系を基礎にした研究が伝えられております。
現在の中根式は、創案当時の速記法則を受け継いだものも残っておりますし、廃止をされた速記法則もあります。
現在、使われている中根式は各地の研究者によっていろいろな速記法則が伝えられておりますし、創案当時とは比べものにならないほど研究・改良が行われております。
当サイトでは、PDF版「中根式速記法教程」をダウンロードできるようにしましたが、この法則体系の基礎をなすものは、私が中根速記学校で指導を受けた法則と、植田 裕先生が研究された法則を折衷して、私がさらに整理した法則体系です。
従来の中根式関係者には、なじみが薄い速記法則も入っておりますし、「速記法則の部屋」では、中根式における速記法則の深さを紹介しております。
中根式では90年という長い歴史を有しておりながら、新しい速記法則が入っております。
中根式は基本的な速記法則の骨格ができており、時代とともに新しい法則を肉づけできる方式です。
標準的な中根式は創案以来、90年間「基本文字」を変えずに、速記法則を中心に研究・改良を続けてきた速記方式です。
また、中根式は研究者と指導者に恵まれた数少ない速記方式です。
我々中根式関係者は、さらに10年後の「中根式速記発表100周年」へ向けて、中根式の創案精神、速記文字などを後世へ伝えていかなければなりません。
■2004/05/09 (Sun) 速記雑話 管理人 |
Google で「管理人」を検索したら「衆議院会議録情報 第081回国会 商工委員会 第2号」にぶつかりました。昭和52年8月3日に行われたものです。
(前略)
○加藤(清)委員 臨時国会までに絶え間なくこの問題を訴え続けます。軽々とおっしゃられたから、こっちもそれはいただけませんと言わざるを得ぬ。これは十年来叫び続けてきておる。大蔵省、よく聞いておってくれ。
そもそも、これは佐藤という通産大臣がおられた。このお方は後に総理大臣になられた。通産大臣のときにアメリカ繊維問題が起きた。私は忍者部隊になつて、佐藤さんの指令を受けてアメリカへ行った。後に総理大臣になられた。そのときに今と同じ問題が起きておる。どう言われたか。これはかつてここで発表したこともあるが、時効にかかったから申し上げる。隣とよくすることが何が悪いんだ加藤君、こう言われた。隣と仲よくすることがなぜ悪いんだ。それで私は言うた。仲よくすることも結構だ。仲よくすることに反対ではない。しかし、うちの女房、子供を殺したり、うちの女房、子供を泣かせて隣の奥さんと仲よくしておったら、このおやじ何と言う。これは管理人だと言わざるを得ない。自分の亭主や自分の子供を泣かされて、殺して、なお隣の亭主と仲よくしている御婦人がいたら、これは何と言う。よろめき夫人の最たるものである。それでもいいのかと言った。あなたの月給はどこからもらっているのだ。通産大臣にも聞きたい。そうしたら、以後、隣と仲よくするために中小零細企業を殺してもいいと言われなくなった。
通産大臣、あなたに聞く。あなたはいずれを選びますか、二者択一の場合に。
○田中国務大臣 もちろん、かわいい自分の女房や子供でございます。
○加藤(清)委員 ほんのうですね。当然のことです。それなればこそ、繊維においてはIMF、ガットといえども例外措置のあることをご存じでしょう。繊維だけでは先進国は全部保護貿易になっているのです。これはきょうの問題じゃないんでする二十年も前からそうなっている。衣食住を野放しにしている先進国はどこにもありません。IMFの中に繊維だけは例外措置があって、二国間協定、多国間協定をすれば例外措置が行われることがちゃんとうたわれている。それを利用し、それを活用していないのは日本だけなんだ。女房がかわいかったら、先進国のやっているとおり、やはり女房、子供を守るためにこれを適用する勇気があるかないか。
○田中国務大臣 御意見のほどをよく承っておきます。
○加藤(清)委員 承って、しからば臨時国会においてこれを採用するかしないかの答弁をいただけますか、いただけませんか。
○田中国務大臣 諸般の問題をかれこれ勘案いたしまして、十分に検討させていただきます。
(後略)
※流通問題小委員 加藤清二君、通商産業大臣 田中龍夫君
と書かれております。
当時の一般世間では「管理人」という言葉はよい意味に使用されておりません。
「道楽息子」は国語辞典に掲載されておりますが、「管理人」は掲載されておりません。
ホームページでは各サイトで「管理人」が存在しておりますが、「管理人」という言葉は「趣味の域を超えているおやじ」とか「趣味の域を脱しているおやじ」というよい意味で使用してもらいたいものです。
「道楽」という言葉も、本来の意味ではなく「道を楽しんでいる」という解釈もほしいところです。
言葉の意味も時代とともに変化してもらいたいものです。
■2004/05/08 (Sat) 速記雑話 質問し損ねた速記文字 |
中根速記学校在学時代は、先生に速記文字を質問する回数は少なかったと思っております。
速度練習では、大抵の言葉は習った省略法で書いておりましたが、今、考えてみると先生に質問をし損なった速記文字が幾つか残っております。
下段文字の「ナガラ」は、「ヌ」ですが、なぜ「ヌ」と書くのか今でもわからずじまいです。
古い中根式の文献を調査すると、中根正親著「中根式速記法講解」及び本山桂川著「応用速記術の秘訣」には掲載されておりません。
中根正世著「通俗 中根式速記法」に掲載されている書き方ですが、下段略字の説明でも「ナガラ」については触れておりません。
私は中根正世先生と何度もお会いしていながら、質問をし損なった速記文字の1つです。
「シカシナガラ」の「シに」は、中間小カギで「シナ」と書いて、「ナ」の部分を消したことが容易に推測できます。
助詞の「ニ」は、元々「小カギ」を順記した形です。中根正世著「通俗中根式速記法」の助詞の「ニ」は小カギを順記して書きます。下段の速記文字は「シに」の説明ですが、中根洋子著「中根式 速記の基本教程」では「シの」で説明しております。
また中根速記学校で「ご承知のとおり」は、最大線の2倍で書く「極大線」を習いましたが、「ご承知のことと」等々の変化形については先生に質問をし損ないました。
在学中に質問をし損なった速記文字は、別の中根式関係のテキストを読みながら解決したものが幾つかあります。
ちなみに「ご承知のことと」は、「中間小カギ」で「ココ」と書いて「助詞」の「ト」を続けております。
■2004/05/02 (Sun) 速記雑話 既成概念 |
昭和53年11ごろに速記仲間のKさんと2人で早稲田速記学校の学校祭へ行ったことがあります。
展示室へ行ったら、1分間に何字書けるかというコーナーがありました。20字刻みで速度を上げていくやり方でした。
私は分速100字を片仮名で書く自信がありました。分速120字は速記文字で書きました。早稲田速記学校の生徒が、
「何式ですか」
「何式でもいいじゃない」
「中根式でもないですね」
「どうして」
「中根式だと、頭にいろいろな符号をつけますから」
早稲田式の人には、中根式は線の頭部へいろいろな符号をつけるという既成概念があったようです。
私は濃線を使いませんし、濃線と区別するときにはダッシュを使用しております。
中根式では他式の人が思っているほど、全体的な速記文例を見てもわかるように頭部符号を使用する割合は少ないと思います。
■2004/05/01 (Sat) 拾い読み 短期速習 速記入門ハンドブック |
西来路秀男著「短期速習 速記入門 ハンドブック」(昭和30年11月発行)に「速記の歴史」の41ページに中根式のことが掲載されております。
(前略)
次に特筆すべき方式は大正3年(1914年)に発表された中根式(創案者中根正親氏 後継者令弟正世氏)です。同式は熊崎武田両式を折衷した単画方式で、10数年の苦心経営の後、実用化に成功したものです。昭和5年、東京の九段下に中根速記学校が開校され、今年25周年の記念式典があるようです。中根式は今日最も勢力のある四大方式の1つで、高等学校方面にクラブ活動の速記方式として普及しております。優秀な実務者もたくさん出ている方式ですから信用していいのですが、入門課程(符号の手ほどき)が終わって速度練習に入るときには、速記実務のできる先輩の経験談をよく聞いて、できればその人に直接指導をしてもらうと成功の確率はなお高くなるでしょう。一般普及用の速記方式としては一応完成したのですから、ここらで専門速記者用の高速度速記理論も整備してもらいたいものだと思います。そのためには、森案、石村案などの構想も、もっと大胆に採り入れてみたらどうでしょうか。
(後略)
西来路さんが、この原稿を執筆されたのは昭和29年8月以前だと推測できます。
西来路さんが見た中根式は中根正世著「中根式速記」(昭和27年版)だと思いますが、中根式では教科書に掲載されていない速記法則があります。
中根速記学校では独自の速記法則体系が確立をされておりましたし、中根速記協会香川県支部では速記法則の研究が盛んな時代です。
中根速記学校では、教科書以外の詳細な速記法則は板書で指導していたので、中根式関係者でも卒業生以外は知らないはずです。
各地の指導者が独自に速記法則を組み立ててガリ版などで配付したり、生徒にノートを取らせていた関係もあり、外部には出てこない法則があります。
■2004/05/01 (Sat) 拾い読み 頭の坊主を取る |
中根速記協会機関誌「中根式速記」の復刊第1号(昭和24年4月1日発行)に「福岡支部便り」が掲載されております。
福岡支部は昭和22年6月に再結成されております。
(前略)
今後の活動について協議、第一着手として中根式速記標準符号制定委員会をつくり、研究を進めることになった。石村善左氏7年間の苦心の研究がその原案をなし、奥谷(※善蔵)、豊島(※延治)両氏の鋭い批判と相まって、この3氏が中核となり、研究会は約3ヵ月にわたって続けられた。年末に至りほぼ案はまとまり、試案として印刷、支部員に配付して実地に使用してその可否をさらに検討し合うことになった。研究の命題は、
1.基本文字の濃線廃止の可能性、これは原型をなるべく崩さずに濃線を廃止しようとするもの。
2.インツクキ法の再検討、その1つは「イ」と「ン」を明瞭に判明し得るごとく改むること。
2は「ン」の前に来る清、濁両音の区別。
3は第2音目に来る「インツチクキ」音の省略、なかんずく「イ、ツ、ク」の3音は空間利用によって解決、これは速記法の欠点とされる。つまり「中根式は頭の坊主を取らなくては」と言われる点で、これがスピードを少なからず阻害している。それで何とかしてその坊主を取り除いてしまうくふうがありはしないかという問題、この2音目の「イ、ツ、ク」の省略法の完成は著しい効果を上げ、空間の徹底的利用によって極度に基本型が単純化され、速度運筆とも中根式の神髄を発揮せしめた感がある。
第3には助詞、これは中根式の最初の発表が「に」と「の」、「は」と「を」が著しく相似形をなしたため、誤訳の原因となり、全国的に乱立の形になっているので、最も理想的なるものを制定すること。
以上がその骨子をなしている。
第1の基本文字の問題は研究会では遂に名案浮かばず、永らく宿題として残されていたが、ごく最近に至って1つの解決点を見出した。それは国字式の自然線と称するものの採用で極めて手近な、そしてだれでも納得できる素朴なる改革論であるからなるべく早く発表したい意向である。
第2のインツクキに関するものは、「イ」音の表示法において従来のものと異なり、「ツ」と「ン」にも僅かの相違点があるので、これを軽率なる発表はかえって従来のものに混乱を起こさせるおそれさえあるので、慎重の上にも新地用を期すべしとしている。
しかしながら1つの新しい方向を示唆させる点においては異論がないので、近く中根会長の御来福を待って直接研究を発表し、ご意向を伺うつもりにしている。
(後略)
福岡支部では「中根24年式」としてまとめております。
中根式における「頭の坊主を取る」ということは、当時から言われていたようです。
中根速記協会機関誌「中根式速記」復刊第3号(昭和24年6月1日発行)には、「新しい書き方」の中で池田正一先生が、昭和7年ごろに中根速記学校内の研究会で考えたものを紹介しております。
基本文字の短い線に対してはさらに1ミリ短くし、長い線には対してはさらに1ミリ長くするという書き方で頻出度の多いもので最大線を使って判読に困るようなものに用いている。特に〔エケセテネヘメレ〕の次に来る〔イ〕の大円省略には絶対効果的である。
中根式では、その後の研究者によっていろいろな書き方が発表されております。
中根速記協会機関誌「中根式速記」復刊第32号(昭和27年2月1日発行)には、稲垣正興先生が「逆記符号の省略」として発表しております。
漢音で第2音にイのつくのはア列、ウ列の一部、エ列だけである。そこでこれらの組み合わせでできた単語の簡略化はもっと容易であり、ほかの符号を使った文字を組み合わせてつくった単語の簡略化の基礎にもなる。
基本文字+イ+基本文字+イ ※○イ○イ
書き方 イの符号をつけずにそのまま続けてしまう。
ケイエイ=ケエ、カイケイ=カケ、セイテイ=セテ、ザイセイ=ザセ、カイセイ=カセ。
(速記文字は省略)
と書かれておりますし、植田裕先生は「中根式 速記法原理」(中根速記協会香川県支部 昭和26年11月発行)に「変則N尾音符号」(現在の特定符号)として「ウン、ケン、コン、テン、ヘン、ホン、ロン・レン、セン、シン」を発表しております。
「特定符号」もいろいろな変遷を経て現在でも残っている形は「ウン ∨」のみです。
■2004/04/26 (Mon) 拾い読み 速記の十徳 |
西澤政之著「最も粋を集めたる 中根式速記法」の「初等科(6訂版)」には「速記の十徳」が掲載されております。
速記の十徳
1.常識を養う。
2.文字を多く覚える。
3.頭脳が緻密明敏となる。
4.推理判断の力を増す。
5.忍耐力を養う。
6.能率を増進し時間の経済となる。
7.文章が上手になる。
8.品性を向上せしめる。
9.宗教的信念を養う。
10.収入が多く出世の糸口となる。
速記は人間教育 完成の大道たり
私も速記界ではまだ修行が足りないようで、いまだに9.と10.については、この意味を解しておりません。
また「速記練習の誓い」には、下記のことが書かれております。
落ちついて ゆっくりと
うまず たわまず(※)
正しく 美しい
速記文字を習います。
短時間であっても毎日の練習
しこうして丹念な反文
速記上達の速記錬磨の
秘訣はここにあります。
※倦まず 撓まず
速記の練習は毎日10分でも練習をする、という意味が含まれております。「継続は力なり」という言葉がありますし、何時間も1週間に1回まとめて練習をするよりは、毎日10分ずつでも練習する方が効果はあります。