■ 2007/10/28 (Sun)  速記発表125周年

 我が国では明治15年10月28日に田鎖綱紀が速記を発表してから、ことしで満125周年を迎えました。

 我が国では125年間にいろいろな式・案などが発表されました。
 速記方式を系統的に分けると「田鎖式系統」→「熊崎式系統」。「中根式系統」。「カナ速記系統」があります。

 基本文字だけで「複画派」「折衷派」「単画派」と分けるには問題がありますが、これは一応の分類方法です。

 現在使用されている速記方式の主流は「折衷派」と「単画派」です。

 どんな優秀な速記方式でも、指導者を養成していないところは自然消滅します。
 10年先には自然消滅する手書き速記方式がかなりあります。
■ 2007/08/31 (Fri)  HP「速記道楽」満4周年を迎えて

 「管理人&編集長」コンビでHP「速記道楽」を開店して満4周年を迎えました。

 本家で使用しているOCNの容量(50MB)が少なくなり、分家の「速記道楽 保管庫」(忍者ツールシステムズ)をつくりました。
 古い原稿は随時「速記道楽 保管庫」へ移動しております。

 相棒と「速記道楽」を開店した当初は、専門的な内容だからアクセス件数が少ないだろうと思っておりましたが、予想以上に89,200件になりました。

 当サイトで取り扱っている内容は「手書き速記」全般ですが、古い資料はPDFファイルで掲載しております。

 5年目はどういう原稿を掲載するかお楽しみください。
■ 2007/07/08 (Sun)  第二次21世紀開発委員会 「みんなの速記」小委員会答申

 社団法人日本速記協会機関誌「日本の速記」平成19年7月号に“第二次21世紀開発委員会「みんなの速記」小委員会答申”が出ました。


 昨年10月の業界標準小委員会に続き、「みんなの速記」小委員会答申がO理事長に提出されました。
 これは、同小委から第二次21世紀開発委員会のK委員長宛に提出され、同委員会の了承を得たものです。
 「国民の書記能力向上と発言記録作成の能率化を図る方法について」という付託事項に対し、7項目の具体的な提案がなされています。
 なお、検定制度見直し小委員会においても鋭意審議が進められています。

出典:社団法人日本速記協会機関誌「日本の速記」平成19年7月号より
■ 2007/07/07 (Sat)  資料紹介 「みんなの速記」小委員会答申 1

「みんなの速記」小委員会答申
                                                      平成19年6月8日
「みんなの速記」小委員会においては、第二次21世紀開発委員会からの〔付託事項〕「国民の書記能力向上と発言記録作成の能率化を図る方法」に関して、〔理由〕及び〔留意・希望事項〕等を参考にしながら、小委員全員参加による会議を行い、さらにeメール・郵便等による意見交換や一般会員からの意見も聴取し、審議を重ねてまいりました。
 その検討の結果、社団法人日本速記協会及び会員が一致協力して、一般の人々に速記技能を有効に使う方法を伝え、個人の能力向上に資するとともに速記技能に対する理解を深めてもらうため、「みんなの速記」推進活動を軌道に乗せるべく、下記7項目のうち(1)〜(4)に関する取り組みを早急(平成19年度中)に開始し、(5)〜(7)項については前4項の実施と並行して調査・検討を継続し、成果を随時推進活動に取り入れるべきとの結論に達しましたので、ここに答申します。

              記

(1)各方式個別の「みんなの速記」テキスト作成について
(2)協会編集の「みんなの速記」共通テキストの作成について
(3)「みんなの速記」推進活動参加方式の審査について
(4)「みんなの速記」推進活動に対する支援
(5)統一方式について
(6)文字・活字文化振興法について
(7)普及のための具体策について

【付託事項】
 国民の書記能力向上と発言記録作成の能率化を図る方法について

【結論】
 社団法人日本速記協会及び会員は一致協力して、一般の人々に速記技能を有効に使う方法を広報・普及し、個人の能力向上に資するとともに速記技能に対する理解を深めてもらうため、「みんなの速記」推進活動を実行する。

【理由】
 従来、速記技能は、速記作業の前半部分の発言の定着手段に重きを置いて見られてきたことから、符号的な部分のみを大きく評価されてきたきらいがあった。しかしながら、後半部分の文書記録や文字データ作成作業に占める割合は非常に大きく、速記者の能力によってそのできばえが左右されており、その重要性は今さら言うまでもないことである。
 ところが、近年、発言の定着手段については、テープ・IC機器等の録音起こし、音声入力等々多様な方法がとられ出したため、一般の人々からは速記文字の価値が喪失したと思われるようになってきた。これは主として逐語速記の分野での速記業務の現状であるが、それとともにその他の個人利用の分野でも同様に価値のないものと見る人が増加してきている。
 今回「みんなの速記」を考えるに当たって、〔付託事項〕として挙げられた「国民の書記能力向上と発言記録作成の能率化を図る方法」のうち、「書記能力の向上」が「みんなの速記」推進活動の第一の目標と考えられる。
 そこで、この個人利用分野の速記能力者(以下、「個人利用者」という。)を増加させることを「みんなの速記」推進活動の主な目的とする。
 また、「発言記録作成の能率化」のうち、議事録等プロ専門分野に属するものについては、「個人利用者」のうちさらに速記に深く興味を持った者から出現するプロ分野の専門的な逐語速記能力者(以下「専門速記者」という。)に任せることで成り立つであろう。
 さらに、「個人利用者」がふえ、速記に対する知識が一般化することにより、明治以来、発言記録を作成するために速記技能が果たしてきた役割及び速記者の潜在能力を一般の人々(速記業務委託者を含む。)が適正に認識する効果を生み出し、それがひいては「専門速記者」の地位向上にも資することになる。
 そこで、次ページ以下に示す「みんなの速記」推進活動等、主に個人利用分野の速記の振興・普及に力を注ぎ、所期の目的を達成できるように努めることとする。  
■ 2007/07/07 (Sat)  資料紹介「みんなの速記」小委員会答申 2

(1)各方式個別の「みんなの速記」テキストの作成について
 各方式体系による個性があるので、分速120字〜180字程度に週1回の講習と自宅学習により3カ月で達する程度を目安にした初歩速記システムをそれぞれまとめ、各方式個別の「みんなの速記」テキスト(以下、「個別テキスト」という。)を早急に作成すべきである。
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 手書き速記においては、メモやノートを初めあらゆる文字書き作業において能率を上げることはもちろん、秘密性・暗号性をもって個人あるいは個人間の私的利用に供すること、さらには聴覚障害者間の会話手段(意思疎通手段)の1つとして利用することも可能である。
 速記を学ぼうとする人が速記のどこに興味を持つかはさまざまであり、各個人が我々の思いもよらない利用方法をとっている場合も多い。つまり「みんなの速記」の利用は、文字を書くあらゆる場面が対象になっているということであり、我々教える側ですべてを想定できるものではない。
 また、個人や学校、実社会等の文化活動において情報交換・処理手段としての役割を果たすためには、「個別テキスト」として従来の方式のエッセンスを抽出して効果的なシステムにまとめ上げることで十分対応できると考えられる。
 これまで専門速記者が身につけてきた逐語速記は、同形の符号に複数の読みを持たせる「多読性」をもって線量を減らし、高速度を得ている部分が多くあることから、要約やメモ・ノートのように文章として成り立っていないものについては解読不能に陥るおそれが多い。
 そのため、「個人利用者」向けの「個別テキスト」は、極力「他読性」を排して、従来逐語速記で省かれてきた長音・濁音等も明記することにより、単語や1音だけでも読めるようなシステムであることが望ましい。
 そこで、その内容は、五十音符号等の基本文字を中心にし、撥音ン・促音ッ・イ音・長音等の漢字音の書き方及び若干の略語等を加える程度で可能である。この場合、通常の速記方式は基本文字だけでも使いこなせば分速200字は達成できるだけの性能はあるので、二音文字・縮記法・省略法の一部を補足すれば、練習次第で分速240字程度に達することも十分可能である。
 ただし、各方式によって体系が異なるので、学習すべき速記文字の質や量などの違いも生じ、教え方もさまざまになるのはやむを得ないが、協会が中心になって可能な限り共同で使える教材を作成し、相互に利用するシステムを構築すべきである。
 なお、専門速記者養成機関等で採用されていた2年間毎日学習することを前提とした膨大なシステムは、今回の趣旨に該当しないので、「みんなの速記」の対象としないこととする。ただし、簡明に再編されたと認められる場合はその限りではない。

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(2)協会編集の「みんなの速記」共通テキストの作成について
 「みんなの速記」推進活動をより一層統一的に進めるために、協会編集の「みんなの速記」共通テキスト(以下、「協会テキスト」という。)を「個別テキスト」と連携しつつ早急に発行すべきである。
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 従来は各団体及び個人が個別に速記教育を行っていたが、今後は協会が率先して活動を推進する1つの手段として「協会テキスト」を発行し、協会を初め各団体が一丸となって広報・普及活動を行う姿勢を速記界内外に向けて示すべきである。
 「協会テキスト」には、新規学習者への励ましのメッセージ、学習者の不安を除く記事、必要な用具、検定の受け方、問い合わせ先等を掲載し、全方式共通のガイダンスとなる内容にする。さらには、練習用の文例(過去の検定試験問題文等)を掲載することも考えられる。
 なお、速記120周年時に作成した「速記の知識」を「協会テキスト」の1つとして採用してもよい。「みん速推進者」が「速記の知識」を教材として希望する場合は、必要部数を協会が無償提供する。
■ 2007/07/07 (Sat)  資料紹介「みんなの速記」小委員会答申 3

(3)「みんなの速記」推進活動参加方式の審査について
 「みんなの速記」推進活動に参加希望の団体及び個人(以下、「みん速推進者」という。)は、それぞれが推進を表明し、協会の了承を得る形とする。
 しかしながら、無制限に受け入れると、真に学習者のために考えられたとは言い難いシステムが入る可能性もあるので、現段階では実績ある方式を母体として、それにスムーズにつながる「個別テキスト」の作成可能な方式であることが望ましい。
 そこで、具体的な選考基準等については、次の3点が考えられる。
1.教習内容が簡明に表示かつ理解できる方式であること。
2.検定試験3級以上の合格実績のある方式であること。
3.日本速記協会会員5名以上の賛同者が得られる方式であること。
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 ひたすら、自分の思いつきを自画自賛し、一般の方に教えたいという人もおり、場合によっては学習する側が負担が大きくなる可能性が出てくる。そして、現段階においては〔留意・希望事項〕にもあるように「プロ用にも発展できる体系」であることが望ましい。
 そこで、ある程度の実績を持った方式に関連する個人または団体が「個別テキスト」を作成し、「協会テキスト」を併用する形が望ましい。
 これは決して一部方式を優遇し、その他の方式に門戸を閉ざすのではなく、あくまで学習者に混乱を起こさないようにすることが第一だからである。新しく参加しようとする方式は相応の実績を提示した時点で順次推進活動に参加していくこととなる。
 ただし、並行してあらゆる可能性を求める手だては残しておくべきであり、これまでの発想では得られないシステム等も受け入れる窓口は常に開いておかねばならない。
 また、仮名を巧みに利用した「簡易速記法」などの仮名文字速記法については、これまでの普及実績もあり、速記の仕組みを初心者にわかりやすく仮名で説明する1つの手段として「協会テキスト」あるいは「個別テキスト」に掲載する方法も考えられる。
 なお、選考された「みん速推進者」から2年ごとに報告を受け、実績の少ないものについては「みんなの速記」推進活動の対象と認めないこととする。

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(4)「みんなの速記」推進活動に対する支援
 各方式の「個別テキスト」は、「みん速推進者」にて作成する。また、「協会テキスト」は協会が作成し、「みん速推進者」に無償提供する。
 なお、協会は、推進活動に対して可能な限りの資金的補助も含めた支援を行うものとする。
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「みん速推進者」は指導料やテキスト代を任意に設定すればよいが、協会としても標準的なものを決定しておいた方がよいと思われる。
 協会のホームページから各速記講座ホームページへのリンクを張る等ITを活用した方法や、eラーニング等についても符号部分を各方式で置きかえ利用可能なモデルプランを依頼作成する等、充実した共通教材をつくるよう指導する。

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(5)統一方式について
 統一方式を直ちに決定することは現状では難しい面もあるが、符号速記存続・普及のための活動の1つとして、素材符号、基本的な省略法等、具体的条件などの調査・研究を続けていく必要がある。
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 新たに「統一方式」を決めて普及を推進することと、既存方式の人材・教材を生かして普及を推進することを比較すれば、それぞれ一長一短があることが、現在の退潮傾向を押しとどめるためには早急に何らかの方策が必要である。そのため、現時点で実現可能な方法として、まず第一に既存方式による「みんなの速記」推進活動から進めていくべきである。
 そして、「統一方式」については調査・研究事項として、引き続きそのあるべき姿を論じる等、日本語速記方式の理論体系に対する理解を深めた上で判断すべきである。
■ 2007/07/07 (Sat)  資料紹介 「みんなの速記」小委員会答申 4 

(6)文字・活字文化振興法について
 「文字・活字文化の振興」と「みんなの速記」推進活動を関連づけ、補助金等を得て活動する方法を引き続き調査・研究する。
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 平成17年(2005年)7月に「文字・活字文化振興法」が成立したが、この法律の「目的」として第1条に、「我が国における文字・活字文化の振興に関する施策の総合的な推進を図り、もって知的で心豊かな国民生活及び活力ある社会の実現に寄与すること」が掲げられている。
 日本語速記は、明治15年(1882年)の発表以来、日本の「文字・活字文化の振興」をまさに黒子的存在として舞台裏で支えてきた技能であり、現在もIT機器で代替の及ばぬ専門速記分野で重用されていることは紛れもない事実である。
 ところが、現在速記業界はIT化の大波をかぶり、その余波を受けて、速記のすべての分野が音声入力やその他の技術に取ってかわられてしまったかのように、一般の方々に思われている状態である。
 しかしながら、速記は個人の書記能力を高めることはもちろん、すべての学術の基礎である国語力を高める意味からも有用かつ能率的な技能であることは言うまでもない。
 文字・活字文化振興法の「基本理念」として、第3条に「国語が日本文化の基盤であること」、「等しく豊かな文字・活字文化の恵沢を享受できる環境を整備すること」とあり、その第3項には、そのために「読む力及び書く力並びにこれらの力を基礎とする言語に関する能力の涵養」云々とあるが、速記を学習し、利活用することは、まさに「言語に関する能力の涵養」に該当し、個人の能力を大きく増進させるものである。
 また、第11条で、読書週間の初日に当たる10月27日を「文字・活字文化の日」として定めているが、くしくもその翌日の10月28日は「速記記念日」である。
 そこで、これらの「文字・活字文化の振興」の方策と「みんなの速記」推進活動を的確に関連づけて、第12条に示されている国及び地方公共団体が努めるべき「財政上の措置」が得られるような有効な方途を、協会の活動の1つとして探るべきである。

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(7)普及のための具体策について(宣伝、場所、指導者、通信添削、eラーニング、講習会等)
 速記教育は、今まで「若い人、就職のために技術を身につけたい人」を主な対象として考えられてきた。「みんなの速記」推進活動においては、「中高年も含めて、日常生活や仕事の能率向上及び趣味として覚えたい人」へと対象を転換すべきである。
 我が国の生産年齢人口(15歳から60歳)は約6,000万人であり、漢字・仮名は忙しいときに不便と思っている人も多い。さらに、今年度から団塊の世代がリタイアし、第二の人生を楽しみ充実させる時期に入る。そこで、こららの大きな対象にも目を向けるべきである。
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 原則として「みんなの速記」の名のもとに、協会本部あるいは支部主催で講習会を開く等、「みん速推進者」が、活動しやすいように人材支援、推薦・後援表明等できるだけの支援をすることにより統一的活動を推進するものとする。
 学習者が増加するためには、教育者はもちろん教材や場所が必要である。全国各地には「専門速記者」もおれば「個人利用者」もおり、さらにそのOBの方々もおられる。これらの人たちに「みんなの速記」推進活動への参加を呼びかけ、それぞれ都合のいいときに講習会を開いたり、自宅で指導したり、あるいはファクスやeメールを使って指導したりする方法も採用する等、あらゆる方法を講じて初心者が学習に入りやすい環境をつくるべきである。



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