5.指導者養成の文献について
 この「速記指導者養成計画案」において「指導者養成」をすることを想定してみました。
 下記に掲げた文献は、指導者としての知識で必要最小限度のものばかりを列挙しております。
 速記指導者は下記の「文献」ぐらいは手元にそろえておいてほしいものばかりです。全科目を暗記しなくても、一度でも読んでおくだけで、速記を指導しているときには、いつかは必ず役に立つはずです。
 特に、速記法、速記史、速記法研究、速記指導法の科目は暗記しておかなければなりません。指導者として、この4科目は特に必要です。他の科目については常識として概略を知っている程度でよいでしょう。
 特に、速記研究者は全科目を知っていなければなりません。
 指導者は自己が習得した速記体系の習得にとどまらず、書けなくてもよいから2〜3の方式を勉強することを勧めます。
 1つの方式を習得していれば、他の方式を勉強しても学習要領がわかっているので、余り苦にならないはずです。
 自己が習得した速記体系しか知らなければ、自己が習得した速記体系の短所や長所がわかりません。
 自己が習得した速記体系にのみ固執をしていると、時代にあった速記法則の研究もできませんし、時代に取り残された旧式の速記文字を指導することになります。
 
速記概論関係
 速記概論
   大阪早稲田速記専門学校:兼子次生著(昭和56年3月20日発行)
 速記ガイド(速記雑学事典)
   速記教育研究所:速記ガイド編集委員会(昭和57年10月28日発行)
 速記と情報社会
   中央公論新社:兼子次生著(平成11年5月25日発行)
速記学関係
 体験的研究ノート 速記における言語と心理
   有限会社ワードアート:佐竹康平著(昭和57年6月21日発行)
 速記の科学
   速記文化研究所:兼子次生著(昭和57年9月16日発行)
 速記研究
   速記文化研究所:兼子次生著(平成2年7月7日発行)
 タンフォノピア
   速記文化研究所:兼子次生著(平成3年5月5日発行)
 速記用語辞典
   紀州速記研究所:吉川欽二編(平成8年12月20日発行)
速記方式学関係
速記符号集
  社団法人日本速記協会:世話人代表・兼子宗也(平成5年9月1日発行)
 現代国語速記法における速記符号文例集
   速記懇談会:編集責任者・兼子宗也(平成6年6月2日発行)
速記史関係
 日本速記方式発達史
   日本書房:武部良明著(昭和17年11月25日発行)*復刻版があります。
 舞台裏の現代史
   三一書房:竹島 茂著(昭和41年8月23日発行)
 インテルステノ報告 速記者の国際活動の歴史と現況
   社団法人日本速記協会:向井征二著(昭和47年2月25日発行)
 速記の歴史<西洋編>
   社団法人日本速記協会:向井征二著(昭和48年3月1日発行)
 日本速記事始 田鎖綱紀の生涯
   岩波書店:福岡 隆著(昭和53年8月21日発行)
 萬国速記史
   大阪早稲田速記専門学校:兼子次生著(昭和55年5月18日発行)
 日本速記百年史
   社団法人日本速記協会:武部良明著(昭和58年10月28日発行)
 ことばの写真をとれ 日本最初の速記者・若林?蔵伝
   さきたま出版会:藤倉 明著(昭和58年10月28日発行)
 早稲田速記五十年史
   学校法人川口学園:坂間和男編(昭和59年2月18日発行)
速記指導関係
 速記要訣
   学校法人川口学園:吉川欽二著(昭和61年8月10日発行)
 速記教育概論
   紀州速記研究所:吉川欽二著(平成6年8月発行)
 速記講話―速記を教える―
   紀州速記研究所:吉川欽二著(平成6年8月発行)
 速記講話―速記を考える―
   紀州速記研究所:吉川欽二著(平成6年8月発行)
 速記の『儀式』
   紀州速記研究所:吉川欽二著(平成8年11月15日発行)
 標準時間配分と基本練習
   紀州速記研究所:吉川欽二著(平成8年11月15日発行)
 早稲田式速記法 基本文字ガイダンス
   紀州速記研究所:吉川欽二著(平成6年8月発行)
 早稲田式速記法 省略法ガイダンスT〜V
   紀州速記研究所:吉川欽二著(平成6年8月発行)
早稲田式関係
 早稲田式速記講義録 第1巻〜第9巻(*早稲田式のバイブルです)
   早稲田式速記普及会:川口渉著(昭和30年5月25日発行)
 速記 総論・運筆編
   早稲田速記学校:早稲田速記学校教科書編纂委員会(昭和 年 月 日)
 速記 速字編
   早稲田速記学校:学校法人川口学園早稲田速記学校(昭和46年4月5日)
 速記 辞書編
   早稲田速記学校:学校法人川口学園早稲田速記学校(昭和53年4月5日)
 速記要解 初等編/中等編/高等編/研究編
   吉川欽二著:(昭和57年6月28日発行)
 早稲田式の研究
   吉川欽二著:(昭和63年8月1日発行)
 速記テキスト ベーシックコース/パーソナルコース/セクレタリーコース/レポーターコース/ハイスピードコース
   大阪早稲田速記秘書専門学校:(平成3年4月1日発行)
 速記テキスト STANDARDT〜U
   大阪早稲田速記秘書専門学校:(平成5年9月発行)
 佐竹式速記 学習コース(*佐竹式のバイブルです)
   佐竹速記塾:佐竹康平著(昭和33年6月15日発行)
 佐竹式速記 速習書
   佐竹速記塾:佐竹康平著(昭和35年5月15日発行)
 佐竹式速記 ジュニア 理論編/実技編
   有限会社ワードアート:佐竹康平著(昭和56年4月10日発行)
 佐竹式速記 シニア 理論編/実技編
   有限会社ワードアート:佐竹康平著(昭和56年12月1日発行)
速記実務関係
 速記原稿のつくり方
   東京速記士会:宮田雅夫・佐竹康平著(昭和53年3月20日発行)
 要点速記の問題点と処理法
   東京速記士会:武部良明著(昭和54年9月30日発行)
 話し言葉にあらわれた用語について
   東京速記士会:野元菊雄著(昭和56年1月30日発行)
 記録作成実務の要点
   速記文化研究所:兼子次生著(昭和59年12月発行)
 速記実務のABC
   大阪早稲田速記秘書専門学校:吉川欽二著(昭和62年3月20日発行)
 話の文章化のプロが振り返るテープ起こし時代の文章化技法
   速記懇談会(平成4年11月7日発行)
*このほかにも、紀州速記研究所では「速記文例集」「連綴・運筆辞典」「易誤文字辞典」 「速字典」「紀速テキスト 基本編/省略編/導入編/簡字編/文例編」などを発行しております。非常に参考になるので一読を勧めます。
その他
 名士の速記観
   社団法人日本速記協会:前田英昭編(昭和45年9月1日発行)
 寸志録 線に聞く
   同人方:吉川欽二著(昭和61年9月1日発行)
 高速度速記奥義秘伝
   同人方:吉川欽二著(平成2年6月17日発行)
 早稲田式に関した文献は他方式よりも豊富で充実しておりますので、大いに参考にしてください。このほかにも必要な文献が発行されております。特に速記指導者にとり「佐竹式」は必修科目です。吉川欽二さんは早稲田式、佐竹式に関した著作や研究書を多く発行されております。早稲田式の指導者は特に必読をするものばかりです。いずれも熟読をするだけで十分に理解ができます。
 以上、紹介した文献は指導者として熟読しなければならない最小限度のものです。このほかにも参考になる文献は幾らでもあります。
 上記の文献はほんの一部分ですが、一度でも熟読をしただけで速記関係の知識がかなり得られることだけは保証します。
 上記に掲げた文献におけるすべての内容を暗記することが理想的です。実際問題として各科目のすべてを暗記すること自体は容易なことではありませんし、よほど記憶力のよい人でない限りほとんど不可能でしょう。しかし、全部の文献を一度でも熟読するかしないかでは大きな違いがあることだけは歴然としております。
 現在、我が国の速記界において指導者の養成機関はありませんが、他の各分野においては指導者の養成機関が充実をしていることを十分に認識しておかなければなりません。
 昭和58年10月28日発行の「日本速記百年記念誌」及び平成15年5月14日発行の「日本速記年表/速記関係文献目録」の「速記関係文献目録」には、実にさまざまな分野の文献が豊富に掲載されております。これらの文献を再検討して各科目ごとに分類をすれば、上記の科目になると思います。
 我が国の速記界は、速記学の分野を総合的に見ると、いまだ学問として確立されておりません。各分野ごとに見れば高レベルの研究があることを忘れてはなりません。我々は、これらの文献を大いに利用しない方法はないと思います。

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