伊藤 伍兵衛 秘密を守るための文字の研究
秘密文字とあるので、新文字のようなものかと思ったら、「仮名速記」より遙かに速記らしいものである。さらに折衷式と単画式の中間ぐらいの方式である。
あくまでも秘密文字ということで、行の入れ替えや文字の入れ替えは各自で勝手にやっていいと書いてある。
「ん」は左下から右上へハジク、「っ」促音は交差といい、速記方式そのものである。
略語
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間違えて消してしまいました。復活するのに時間がかかります。
ことであります ありません
ことでありました ございません
ことであって おりません
思います 関係
思いません
都合30例くらい出ている。「あとは自分で勝手に作ったほうがいい。それでないと秘密文字にならない」と書いてある。
文例
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間違えて消してしまいました。復活するのに時間がかかります。
方丈記の一部
ゆく川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず
よどみ浮かぶうたかたはかつ消えかつ消えずして久しく
とどまることなし。
上記の基本文字と照らし合わせてもかなり変えてある。作者はこのように変えていることが秘密文字になることを説いている。
奥付は伊藤伍兵衛だが表紙は「伊藤六水」と書いてある