グレッグ式と宅間式
この丹羽氏の考え方は、図らずも最近になって知ったことであって、私の研究 が、これにヒントを得て開始されたのではない。私の研究の直接の動機となった のはグレッグ式の書体からであった。この式では頻出度の高いR、Lをあらわす 符号に横行曲線を当てている。 なお昭和12年P.H.Burdick 岡村キクヱ両氏によって紹介された「日本グレ ッグ式」があるので参考までに掲げておく。〔第5図〕 十数年前に、私は宅間式(昭和10年発表)の書物を購入したことがあった。学 生のころである。そのときに接した書体に私は淡いあこがれにも似た感じを持っ た。恋のようなものである。私の曲線符号の持つ美と速さへの探求のための巡礼 と放浪は、このときから芽生えていたのである。宅間氏はグレッグ式にの翻案で あり、グレッグ式に忠実にル=R ク=Kを始としてア=A イ=I ウ=U エ=E オ=O ス=S ツ=T ヌ=N フ=F ム=M という共通点を発 見できる。〔第6図〕 |