によりますと、斜めに切っております。3番目は正世先生の場合で、真っすぐに切ってお
ります。私は斜めに切った方が自然ではないかと思います。4番目はゆすり筆と申しまし
て、中根速記学校で指導されておりました。最後はゆりつぎと申しまして、早稲田式で採
用されております。大正5年の「中根式速記法講解」では負側に小円を入れておりますが、
大正8年8月の第4回講習会では森先生が習われたときの資料を見ますと、切り線になっ
ております。
12番目は加点字と申しまして、文例はスムです。スとムは加点が2つ続きますので、加 点を1つにして真ん中に入れております。その次がススムです。加点が3つあるときは、 スの反対側に加点を1つ書きます。 13番目は繰り返しでありまして、文例はイロイロと書いてあります。正親先生はイロと 書いて点を打っております。正世先生は最後をT字形に止めております。3番目が中根速 記学校の符号で、ロの真ん中に横線を交差しております。この符号がイロイロナとかイロ イロノというときは使いやすいのであります。例えばイロイロナ とかイ ロイロノというよりも の法が使いやすいと思 います。 14番目は詰音ですが、文例としてはカッコ、ソッキと書いております。先ほどKさんが 説明しましたので、説明は省略いたします。 15番目のインツクキ法に入ります。その前に配付いたしました資料の中の「速記史再発 見」を見ていただきますと、正親先生が大阪毎日新聞によって発表された記事を見た熊崎 式の創案者・熊崎健一郎先生が正親先生に、どういう方式か教えて欲しいという手紙を出 されております。正親先生は、その手紙に中根式の内容を書いて返事をだされたわけです。 再び熊崎先生から来た手紙の中には「幾多斬新なる法則あるが中にもインツクキの妙用に は只管敬服の他無御座候、是等独創的御発明に対し満腔の敬意を表し候」と太鼓判を押さ れております。中根式のインツクキ法は当時としては画期的なものだったと思います。 レジュメに戻りまして、(1)と書いてありますのは正親先生のインツクキであります。 イが大円、ンが小円、ツが小楕円、先ほどKさんから説明がありましたように頭部に加点 がついております。これだと3音目の尾部空間が自然の形になるのではないかと思います。 これについては武部良明先生の「日本速記方式発達史」にも説明が書かれてあります。チ は結び小円、クは小丸カギ、キは結び大円と大円の中に加点を打ってあります。 (2)は正世先生のインツクキでありまして、クが角カギになっております。クの3音目 |