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執筆者: deme7 (EPSEMS速記法考案者)
2019/6/28
gazou1 石村式速記法

創案者の石村善左氏の、
よりよい速記法構築への
   情念であったとも言える



今回、万年筆で書きなぐった速記符号サンプル、1967年型としたのは、私が学んだのがこの年型であるためである。

石村式は、中根式から出発し、紆余曲折の末、考案された方式である。
時間とともに、50音基礎符号を中心に方式形態の変遷をたどる。このことは、学習者を困惑させたきらいもあるものの、これまた別の言い方をすれば、 創案者の石村善左氏の、よりよい速記法構築への情念であったとも言える。

中根式が出発点となっているが、比較的早い段階から50音基礎符号中に小円のついた複画線も混在したところの折衷派方式となっている。
最大線や上下段の使用、助詞符号に一部、サイン符号を用いる点、その他、中根式の基本的な考え方を踏襲した部分も多いが、 清音とそれに対応する濁音を濃線化以外の方法(基本は小円付加だが、他の方法による時期もあった)で書き表すことに力点を置いての方式創案という点が異彩を放つところでもある。

使用線種の制約等から、少なからぬ困難、苦労を伴った創案であったことと推察される。
濁音が存在する行とそれ以外の行への小円配分の均衡、一貫性といった点にあっては、賛否両論あって不思議ではないが、 実際使用にあっては、やはりこの石村式という方式の有用性、美点を看過、否定することはできない。

中根式と比較した場合、ある意味では線量が多い傾向にあるものの、 線頭のサインのデリケートさをより回避できている点や濃線の廃止、各行への使用線の方向の見直し等々、改良点とみなすことができる部分も少なくない。

― 目次 ―

  1. 石村式速記法について(1) このページ
  2. 石村式速記法について(2)
  3. 文例…符号サンプル1
  4. 文例…符号サンプル2