凄腕の先生

 学生時代、中根式速記の競技大会で優勝される経験をも持ち、第2次世界大戦 中は東京の参謀本部速記者として、秘密会議などをお一人でこなしておられた凄 腕の先生。

 その身で国会速記者(衆議院)の採用試験を受験、見事合格後、衆議院速記者 としての道へも進まれた。

 この戦中当時には既に、元の中根式にご自身の発案等をも加えられた速記法体 系を運用しておられた。

 カナ速記(五十音符号等、基礎符号に用いられる線の形状が仮名文字を簡略化 したもの等を元にして構成されている)にも傾倒された時期があり、その後、い わゆる「符号式速記」(ここでは特に幾何派方式)のある意味での「有用性」を 再認識されていったとも聞く。

 石村先生が学ばれ、実務もこなしてこられた速記方式が「中根式」であること からも、速記法体系としての「石村式」の基本骨格が「中根式」系統である部分 が多分にあることは異論をまたないかもしれないが、「石村式」は決してそれだ けにとどまるものではないというのが私自身の認識であり、思いである。