他式においては

 例えば「早稲田式」では、「濁音、長音、長濁音」といったいわゆる「変音」 は結果的に可能な限り「省略」してしまうが、これは実はとても「潔く効率的」 な方法でもある。(もちろん、あえてきっちりと表示しようと思えば、それなり の手間はさておき、簡便で統一的な方法が存在する。)

 基礎符号の形状だけにスポットを当てればかなり近いものがある「熊崎式」の 符号運用自体が早稲田式に通ずるものでもあった。(→熊崎式ではいわゆるエ列 長音なども長音符部分を省略し得る設定である。)

 早稲田式での例を挙げれば、「先走る」を「サキバシル」とせずに「サキハシ ル」、「スマート」を「スマト」、「分野」を「フンヤ」、「現代」を「ケンタ イ」、「成長」を「セイチョ」、もっと極端なものでは「増加」を「ソカ」、 「活動」を「カツト」といったように、それこそ前後関係で判読可能なもの、 個々人の判断で判読可能であろうと思われるものはどんどん省いて書かれる。

 速記学習の過程において、どのように書記するかを瞬時に判断し、後で正しく 判読するといった訓練は自然となされていく。