【 日教組中執速記原本の第三者解読〜 こう読んだ 】
  ( → どう読んだか いかに訳したか)


解読した史料及び解読作業については、次の文献を参照してください。
兼子次生「発掘された速記史料解読研究」『日本の速記』平成30年6月号、日本速記協会。

  

2024年11月
速記士 平野明人



 速記符号の第三者解読→判読できなくなる確率が普通文字の場合よりも高い

第三者による速記符号解読、 つまり自身以外の者が書いた速記符号を別の者か解読する(第三者解読)とは、いかなるものなのか。

なお、ここで言う速記符号は、いわゆる 「手書き速記符号」 に限定している。

A   普通文字→よほど乱雑に書かれていない限り、ほぼ全てにわたり読める傾向にある

普通文字の場合でも、それを書いた本人でさえ読めない場合があり得る。

とはいえ、よほど乱雑に書かれていない限り、ほぼ読める場合が多いのではないだろうか。


B   普通文字とは異なる速記符号の諸事情

翻って速記符号の場合、結論から言えば、 諸事情によりあとで読めなくなってしまうことが往々にして生じ得ると言える。

さらに言えば、少なくとも普通文字の場合よりもはるかに高い確率で判読ミスや判読不能が生じ得る諸要素が存在するということが言える。

全言速記、つまり人の話す言葉を全て逐語的に書き記す逐語速記を前提に作られた速記符号は、話す速度に合わせて書くことができるようにすべく、普通文字とは比較にならないほど画数の少ない書線で構成されている。

普通文字を例にすれば、例えば漢字を崩して速く書く場合、書かれた文字は乱雑になる傾向にあり、場合によっては原型が再現できないようなものになり得る。

この場合、漢字の中でも画数がより多い漢字のほうが判読しやすい傾向にあるとも言えるが、それは原型を判断するための構成要素がそれだけ多いからであるとも言える。

そういった意味でも、極限まで画数を少なくした速記符号は、普通文字の場合以上に判読しにくい傾向にあるとも言える。

それに加えて、同形符号であっても長さの異なりにより別の音を表すことが頻出する上、高速度で書かれる速記符号の場合、その傾向はさらに高まると言える。

普通文字の場合でも、往々にして他人の書いた文字は読めない部分がより多い傾向にあると言えるのと同様、速記符号の場合はなおさら、他人の書いたものを読む第三者解読にはさらなる困難が伴うとも言える。


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