解読作業における最初の関門=解読者にとって未知の符号の読みを仮定し、証明する

正規の中根式の書き方で書かれていても第三者解読には相応の難が伴うことを、これまでにあれこれと述べた。

解読のための前提作業として、「正規でない (非正規の) 書き方で書かれた符号や解読者にとって未知の符号」は、その符号の読み (解)をまず推定 (仮定) し、 その読み (解)を突止め(証明) 確定する過程が必要となる。

ごくわずかな推定サンプルのみでは 「解」 が得られないものでも、同様のサンプルに数々と当たっていくうちに、 「およそ (ほぼ絶対に) これが解だろう。 いや、これが解に違いない。命を賭けてもいい・・・ と断定してもいい!」といった段階が訪れる場合は少なくない。

そのような段階に至ったものは、私の中での 「絶対的な解」として取り扱うこととして解読を進めていった。

それでは、「解」 を導く過程とともに、 符号の乱れによる解読難も伴う中で、 どのようにして実際の解読作業に当たったかを、ここでは全てを挙げ得ないものの、以下、幾つか示してみたい。


A   正規の中根式とは異なる「助詞」の書き方と、その解を突き止める

「要推定サンプル」の中で、 当初、 難を極めたのが、 「未知の助詞の書き方」であった。

とりわけ「〜を、〜に、〜と」において、 全く同じ書き方になる (もしくはほぼ同じ書き方になる)部分が余りにも多いことであった。

加えて、実際に書かれた符号が乱れている場合、 解読難がさらに増していった。

結局のところ、これら助詞の判読においては、 「文脈、語の前後関係」 等により自動的に解が絞られる場合もあるが、 訳候補が複数出た場合、 その旨を示すほかなかった。


B   摘記法による符号の読みを仮定し、証明する

速記法における 「摘記法」とは、「複数音で構成される語の構成音の一部のみを摘出して書く」といったものであり、 高速度書記性能を求められる速記において必ずと言ってよいほど行われるに違いない必要悪ならぬ必要善でもあろうか。

およそ古今東西の速記であまねく行われてきた手法であるが、今回の第三者解読においても、特に解読者にとって未知の範囲にあるサンプルが少なからず存在した。

これらについても、 助詞の場合と同様、 「文脈、文中の語と語の前後関係」 等により自動的に解が絞られる場合もあるが、さもなくば任意判断による解である旨を示すほかなかった。

これについては具体的に例を挙げるまでもないのかもしれないが、摘記法で書かれた符号音から推定される語の解を文脈等により導き出していったとしか言いようがない。

なお、ここで述べた摘記法には、語の構成音を表す符号同士を交差したり平行に並べたりして書かれるものも含まれる。

C   その他、解読者にとって未知の書き方による符号の読み (解)を突き止める

その他、解読者にとって未知の符号は、既述のやり方と同様にして解を突き止めていった。

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