さらに話は変わるが、作家の「丸谷才一」のある言葉がある。 「わたしに言はせれば、明治大正昭和三代の時代小説を通じて、並ぶ者のない文章の名手は藤沢周平でした」 彼にそう言わしめた「藤沢周平」という偉大な作家・・・藤沢周平が、かつて中学校の教諭だった頃のこと。 肺結核で休職、退職を余儀なくされ、手術を重ねつつ、数年の療養生活時代を過ごした。 その時代のことを、彼は「半生の記」で、「この時代が私の大学だった」と振り返っている。 翻ってこの私には、 実際に大学を出たという事実もなければ、「あの時代が私の大学だった」と振り返ることのできる時期もない。 空手から始まったような私だが、「空手バカ一代」ならぬ「速記符号バカ一代」みたいになってしまった。 そして、「その時その時、身の周りに起こる事象の自然な流れ、本質をじっと観察すること」しかできない。 また、観察しても答えが得られることのほうが少ない。 |