各体系の説明 (関連ページ)

中根正親の体系 (関連ページ)
 中根正親により、大正3年5月10日に発表されたものであり、中根式各 体系の母体となったものです。現在は指導をされておりません。
「中根式速記法講解」は中根式の原形を知るためにも、中根式関係者は必 読をしてらいたい1冊です。

中根正世の体系 (関連ページ)
 創案者の令弟・正世(昭和31年に正雄と改名)が中根正親の体系を大正 末期より整理・改良し旧制の全国中等学校を中心に普及したものです。
 この中根正世の体系が「中根速記学校」の体系の源流になる一方、当時、 旧制中等学校の生徒であった稲垣正興、植田 裕、森下 等など、各体系の原点 になっております。
 なお、昭和54年4月15日から、中根速記学校では中根康雄が中根康雄の 体系を指導しております。
 中根康雄の体系は中根正世の体系とは少し異なっており、中根速記学校 の体系、稲垣正興の体系、植田裕の体系、森下等の体系を部分的に折衷しており ます。
 中根正世が昭和2年に刊行をした「通俗中根式速記法」及び昭和27年の 「中根式速記」は中根式のバイブルです。中根式関係者は必読をしてもらいたい 1冊です。

中根速記学校の体系(九段下の体系) (関連ページ)
 中根正世の体系と九段下の体系は一般的に同一のものと思われがちです が、昭和4年7月から東京・九段の中根速記学校で指導された法則体系は中根正 世の体系ですが、昭和6年10月ごろから、戦前は池田正一(いけだまさかず) が中心になって「研究会」ができました。「通俗中根式速記法」の体系に中根速 記学校独自の体系を追加していくことにより九段下の体系が確立されました。そ の後、池田正一、曲尾啓之助(まがりおけいのすけ)、北村薀雄(きたむらも りお)たちにより研究され、戦後は池田正一が中心になり、改良されたものであ り、昭和53年7月31日で指導が打ち切られ、中根康雄の体系が指導されておりま す。
 東京近郊の中根式関係者のほとんどが九段下の体系で占められており、 全国各地に散らばっておりましたが、近年は時代とともに九段下の体系の使用者 が少なくなってきました。
 戦後の九段下の体系は指導をする先生(池田正一、江森武、西宮純一 郎)によって符号体系に多少の違いがあります。
 なお、完全な九段下の体系で指導を受けたのは昭和52年4月入学生が最 後であり、昭和53年4月入学生は九段下の体系と康雄の体系で指導を受けており ます。
 中根速記学校は東京都千代田区神田神保町3−4九段下ビルの3階に あったので(昭和54年3月末まで使用をしていた)九段下の体系と言います。
*中根速記学校の体系は「中根正世の体系」及び「中根康雄の体系」と区別 をするために「九段下の体系」とした方がわかりやすいと思います。
*中根速記学校は昭和54年4月に東京都千代田区九段北1−4−7悠山九 段ビルへ移転しております。
 現在、中根速記学校は平成10年7月ごろに東京都千代田区三崎町2− 4−12へ移転しております。

植田 裕の体系 (関連ページ)
 四国の香川県立高松商業高校速記部を中心に、丸亀商業、志度商業速記 部で使用され香川県内で広く普及をしていました。香川県では中根式関係者のほ とんどが植田裕の体系で占められております。
 従来の中根式(*中根正世の体系、九段下の体系、稲垣正興の体系)と はかなり異質な符号体系であり研究に値する法則体系です。
 〇〇記法、縮記法、略記法という用語は、西来路秀男著:衆議院式「標 準速記法原理」(昭和25年5月15日発行)から取り入れております。また衆議院 式の理論体系も中根式に取り入れております。
 植田裕は昭和22年から一先輩として母校(香川県立高松商業高校)の速 記部を指導し、昭和26年4月から同校の教員として昭和45年3月末まで速記部を 指導されていました。24年間にわたる速記指導の中で植田裕が目指したものは、 流麗な速記符号、各法則間の矛盾の排除でした。植田裕の研究は高校教員になる 前の4年間は新聞社で実務速記者としての経験と、高校教員としての指導の傍ら、 地元の実務速記を手がけるなどして単に机上の空論ではなく実務から割り出した 研究であることと、その速記教育法・速記教育課程(カリキュラム)の開発です。
 昭和45年4月から東京で速記実務の傍ら、平成20年11月28日に亡くなる まで研究を続けておりました。

稲垣正興の体系 (関連ページ)
 関西地区の学生速記界を中心に普及をしております。関西地区の中根式 関係者のほとんどが稲垣正興の体系で占められております。
 また、中部地区の愛知大学速記研究会(現在は廃部)、関東地区の学習 院大学速記研究会(現在は早稲田式)にも部分的に採用されておりました。
関西地区では、現在でも指導されております。

森 卓明の体系 (関連ページ)
中根式の体系の中において古い歴史があり、「超中根式速記法」を昭和6 年に発表以来、中根式各体系にに大きな影響を与えております。「超中根式速記 法」は中根式の体系に、理論的に一番近いので中根式関係者には一読に値する書 物です。
 超中根式→中根式表象法→現代国語表象速記法と研究をされ、現在では、 従来の中根式とはかなりかけ離れた符号体系をなしていて、森式として1方式に 数える存在です。
超中根式→中根式表象法までを森卓明の体系としている。
「現代国語表象速記法」は森式です。

森下等の体系
 文法的見地から見た符号配置の研究があります。形容詞・形容動詞・副 詞・動詞・助動詞等。
 なお、昭和43年3月、市ケ谷出版刊の「中根式速記」は九段下の池田正 一、中根洋子の共著になっておりますが、内容は九段下の体系ではなく森下等の 体系です。

武部良明の体系
「学生速記」という名称の書物の割には、かなり高度の理論展開をしてお ります。基本文字は多少違うが、理論的に従来の中根式に十分応用できます。指 導者・研究者には一読に値する書です。
香川県で実務に使用されていた人を1人確認しております。

吉川欽二の体系
 和歌山県で指導されておりましたが、植田裕の体系、武部良明の体系、 九段下の体系、森卓明の体系を参考にし、吉川欽二が研究した符号を入れた独自 の体系です。法則的にもかなり細かい部分まで研究されております。
 中根式の指導者・研究者には必読に値する文献です。


また、中根式から派生した方式として
昭和5年10月に岩村学(いわむらさとる)の岩村式(カナ速記)。
昭和6年2月11日に国字常弘(古久保峯吉=ふるくぼみねきち)の国字式
昭和9年6月に土田利雄(つちだとしお)の土田式
昭和18〜19年に国字寿光(古久保峯吉)の寿光式(基本文字は同じ)。
昭和23年に河島貞三(かわしまていぞう)の超高中根式。
昭和24年に石村善左(いしむらぜんさ)の中根24年式
昭和26年に石村善左の26年式=石村式
昭和26年に国字式を改良した山根祐之(やまねすけゆき)の山根式
昭和28年に中根24年式と衆議院式の影響を受けた小西佐都志(こにしさと し)の長商式(長崎商業の略)。
昭和33年8月12日に中根正雄の中根カナ速記(即席速記法→簡易速記法→スピードメモ法
があります。