8.指導者養成方法について
 現在、中根式関係において指導者養成に関して実行ができることは、下記の方法などが考えられます。
1.独 習
 指導希望者自身が文献の各科目を熟読することです。各文献の内容は全てが独習できるものばかりです。
 独習の場合は、独習者自身が文献を収集することから全てが始まります。
 独習の場合は、速記界の事情に通暁しており、速記関係機関及び教育機関(社団法人日本速記協会、中根式速記協会・中根速記学校、各速記方式の協会・学校、紀州速記研究所等々)や文献にも精通していなければ文献の収集が非常に難しいでしょう。
 文献を熟読するよりも、文献を収集することの方に時間がかかることを覚悟しなければなりません。
 指導希望者は、常日ごろから文献を収集しておく気持ちがなければ、急には間に合いません。
 独習の場合は、生活環境、個人差などを考慮すれば、期間の特定は不可能ですが、最短期間は1年間から1年半を標準に設定すればよいでしょう。
 指導実習に関しては速記を指導しながら、経験を積んでいく方法しかありません。
2.通信教育
 中根式速記協会が通信教育を行い、各科目の文献を独自に作成することです。
 通信教育の場合は、独習と同様に生活環境、個人差などを考慮すれば、期間の特定は難しいので、最短の受講期間は1年間ぐらいが適当です。受講期間が、余りにも長過ぎると受講者の方がだらけてしまいます。
 指導実習に関しては速記を指導しながら、経験を積んでいく方法しかありません。
3.速記教育機関
 中根速記学校に「速記指導者養成科」を設置して各科目の文献を作成することです。
 速記指導者養成科の期間は1年間ぐらいが適当です。
 あるいは各方式の速記教育機関と協力して「速記法研究」以外の科目を分担して履修する方法も考えられます。
4.研修会
 上記の「独習」及び「通信教育」の修了者を対象とし、「速記指導法」に関しては指導者としての最低限必要な内容を中心に3日から5日間の研修会を実施することが望ましいと思います。
 いずれの方法も、中根式速記協会が事前に各科目の文献を作成することは大変な作業ですが、手書き速記の将来的な見地から考えれば一時的な作業です。
 スキャナーを使用すれば、人間が最初から入力をするよりも作業効率がよいと思います。各方式間における著作権の問題を解決するだけです。
 指導者として、特に必要な科目は「速記法」「速記法研究」「速記指導法」「速記史」の4科目です。
 「速記法」は、速記学校の卒業生、通信教育修了生は既に習得しているので特に問題はないと思います。
 特に「速記法」で問題があるとすれば、高校の速記部出身者及び大学の速記研究会出身者、独習者の「速記法」における法則体系の知識的レベルです。
 特に、中根式関係では高校速記部出身者における、法則体系の知識的レベルには非常に大きな開きがあります。
 高校の速記部では、法則体系を熟知した顧問が指導している場合には問題がないと思います。全国各地の高校速記部では、ほとんどの顧問が「速記」の知識がなく、3年生が1年生を指導しているのが現状です。
 法則体系を指導する3年生の指導能力が低ければ、全体的な法則体系が指導されず、年々、速記法体系の内容が減少した状態で伝えられております。最終的には省略法が少なくなり「インツクキ法」と「助詞」ぐらいになっております。高校速記部ではそういう状況が現実的に行われております。大学の速記研究会においても同じようなことが言えます。要は指導する側の能力次第で法則体系の全体が伝えられるか減少するかが決められております。
 上記の中で、即応できる方法は「独習」であり、完璧な方法は「中根速記学校」に「速記指導者養成科」を設置することです。
 指導希望者自身の地域的な生活基盤及び年齢などを考慮すれば、「独習」及び「通信教育」が中心になります。

1 |  2 |  3 |  4 |  5 |  6 |  7 |  8→ |  9 |  10 |  Index