3.指導者養成の対象者について
指導者養成の対象者は年齢、性別に関係がないことは周知のとおりです。最低限、下記の条件を満たしていなければならないと思います。
1)速記学校(教室、塾)の卒業生
速記学校、速記教室、速記塾を卒業し、速記法(方式の全法則体系)、速記術などを習得した卒業生です。
*1 中根速記学校では「本科1年、研究科1年」
昭和55年度から「実務速記科(2年制)、師範科」
*2 早稲田速記学校では「本科1年、専門科1年、研究科1年」
*3 大阪山根速記学校では「本科2年、研究科?年」
(*本科1年修了、本科2年卒業)
山根祐之が平成7年3月2日に逝去して大阪山根速記学校が閉鎖になりました。
*4 衆議院速記者養成所では「本科2年、研修科6カ月」
*5 参議院速記者養成所では「1年、2年、研修生6カ月」
平成18年9月末に「衆議院速記者養成所」及び「参議院速記者養成所」は閉鎖になりました。
*6 大阪早稲田速記専門学校では「1年、2年」
*7 佐竹速記塾では「ジュニア、シニアA、シニアB、ハイB」と言われております。
*8 その他の教育機関として国字速記学塾(国字式)、中部速記センター(日速研式)、石村速記研究所(石村式)、小西速記研究所(長商式)などがあります。
現在、「国字速記学塾」、「佐竹速記塾」、「小西速記研究所」は閉鎖しております。
2)通信教育修了生
各方式で行っている通信教育・研究科課程の修了生です。
*1 通信教育を行っている方式は中根式、早稲田式、日速研式、森田式、森式、カナ式です。
*2 中根式では「本科、研究科」
*3 早稲田式では昭和39年から本科、研究科をあわせて「総合技術課程」といい、昭和44年から「速習課程、専門課程」と呼ばれております。現在では「速習コース、全科コース」と呼ばれております。
*4 いずれも速記法のみで、速記術に関しては各個人によって異なっております。
3)高校の速記部及び大学の速記研究会出身者
高校の速記部及び大学の速記研究会出身者は速記法の全体系(指導された各方式の法則体系を基準とする)が指導されていないと思われます。
*1 高校の速記部では中根式が95%以上使われております。
*2 大学の速記研究会、速記部では早稲田式、中根式、佐竹式、山根式、米田式などが使われております。
4)独習者
市販をされている単行本などによって速記を学習者です。
*1 速記を独習した年代によって方式が異なっております。
主要方式は田鎖76年式、熊崎式、岩村式、荒浪式、石村式、早稲田式、V式(小谷式)、森田式、参議院式(松杜繁土著)などがあります。
*2 中根式は独習者が極めて少ないと思います。
中根式で、市販をされた教科書は昭和43年に市ケ谷出版社から刊行をされた池田正一/中根洋子/森下等著「中根式速記」だけです。中根式の教科書類は古書店でも入手が困難です。
5)社団法人日本速記協会速記技能検定試験1〜3級合格者
社団法人日本速記協会で行っている速記技能検定試験の1〜3級合格者です。
*1)〜4)までは共通ですが、中には例外があることを忘れてはなりません。
速記が速く書けることと、速記を指導することとは別の問題ではないでしょうか。速記がある程度速く書けることは当然のことですが、速記が速く書けなくても速記の指導が上手な指導者もおります。
速記法の大家が必ずしも速記術の大家ではありません。逆にまた速記術の名人即速記法の権威とも言えません。速記法と速記術、この2つは似たところもありますが、本質的には全く別のものです。(私の知人で中には両方とも大家はおりますが……)
幾ら実務経験が長くても、速記の指導ができない人もおります。
要は速記に対する意識の高さが最も重要なことです。
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