新しい問題


 森氏の昭和7年8月の改変の弁の中に、私はただ1ヵ所疑問を残すものである。それは「何式を奉ずるものであるというイデオ ロギーにとらわざる限り」「徐々に改変を加え」るという言い方なのである。<自己の修めた方式から離れることを前提として>と いうふうにこの言葉を取るのは誤っているだろうか。いや私は森氏が中根式から分派することを前提としたとか、どうかとかとい うこを言おうとするのではない。一般論として「何式を奉ずるというイデオロギーにとらわれざる限り」そうしたことが許される のであろうか。イデオロギーにとらわれる者は、それじゃどうなるのだろう。私は絶対中根式を奉ずるというイデオロギーを変え ない。ただ、その50音符号にまで立ち入っての研究をやりたいのである。
 ここで、また新しい問題が提起される。50音符号の改変は分派を意味し、新しい方式の誕生と言えるのかどうか、という問題で ある。


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