土田式
以上は中根式として研究発表されたものであるが、前述の森案、浜田案の発表された直後――昭和9年に発表された土田式なる ものがある。「日本速記方式発達史」(武部良明氏著)によると 土田利雄氏は中根式の速記者として衆議院に働き、遂にその成長を一段落つけて昭和9年「土田式速記法」と自己の名を冠した 1人である。 とあり、 そこで氏はこれに大成長を断行した、その改良の主なる点として上げた9つの中、基本文字に関するのは第3で「基本文字の長 さ及び角度を改め、濃淡の区別をなくしたこと」になる。その構成はア列×2=オ列 イ列×2=エ列は、全く中根式のままにと どめ、濃線を廃したため〔チ〕及び〔ノ〕が例外となっている。さらにウ列の加点線の補いとして最大線を活用し、もって〔ウ〕 〔ネ〕〔ユ〕〔レ〕〔ワ〕などに当て、後に説明する酒井式によって初めて用いられた楕円的な基本文字を〔ス〕〔リ〕〔レ〕に 当て、大川式の半円を〔ヌ〕〔ム〕に当て、中でも頻出度の低い〔ミ〕〔メ〕に加線を施して行った。(原文のまま、ただし誤字 は訂正) と説明を加え、第4図のような50音符号を示しているのである。 (※速記基本文字総覧「土田式」を参照) |